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知らないと後悔する税の仕組み!自己所有以外の建物を増改築する際に必ずやるべき1つのこと!

こんにちは、顧客に有益な情報を提供できるよう日々勉強に励むcoco13世です。

親や身内と同居する際によく見受けられるのが既存建物(実家)の増改築です。

今日はこの増改築の資金を既存建物の所有者と異なる方が支払う場合の注意点についてお話します。

結論から述べると建物所有者以外の方の資金で増改築をした場合は、費用と不動産評価を基に所有権持分割合を変更しておかないと、その建物の所有者に贈与税が課せられます。

例えば親名義の建物を子の資金で増改築する場合は、建物を共有名義かつ適正な持分割合にしておかないと親が贈与税の対象となります。

本記事では贈与税を回避する方法や注意点について述べていきます。

なお、本記事は個人間で行うものとします。(法人の場合は話が変わります。)

なぜ贈与税の対象になるか

なぜ、お金を受け取った訳でもないのに贈与税の対象となるのか。

簡単に言ってしまうと、自分の建物を自分以外のお金で増改築してもらった人は経済的利益を得るからです。

例えば僕の家をお金持ちの方が1億円を費やして増改築をしてくれたら、僕は1億円分の経済的利益を得たことになり贈与税の対象となります。

少し専門的な話をしますと、、、

民法242条

不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。

これは増改築した部分は付合(建物と切り離せないモノ)により、所有権は建物所有者に帰属するという意味です。

せっかく僕の家をお金持ちの方が1億円を費やして増改築してくれても、お金持ちの方は建物所有者ではないので、一切所有権を取得することができません。

これだと建物所有者以外の方が増改築しても、所有権を取得できないという不利益を被るため、その不公平を解消するために、増改築した人は建物の所有者に対して償金請求(増改築資金の返還請求)ができるように民法248条(償金請求権)で定められています。

 

相続税法9条

対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額を当該利益を受けさせた者から、贈与により取得したものとみなす。

これは適正な対価を払わず増改築してもらうことは贈与として取得したとみなす意味(みなし贈与)です。

増改築資金を支払った者は、その建物の所有者に対して償金請求権を取得しますが、この請求権を行使しないことで贈与(利益を得た)として扱われ建物の所有者に対し贈与税が課せられます。

 

では、どうすれば贈与税を回避できるのか・・・。

 

それは増改築資金を支払ってくれた方に対価として適正な建物所有権持分を与えればいいのです。

対価と聞くと金銭のイメージが強いですが不動産も対価となるよ。

この回避方法は国税庁HPにも記載されております。

 親名義の建物に子供が増築した場合、増築部分は建物の所有者(親)の所有物となります。この場合、親が子供に対して対価を支払わないときには、親は子供から増築資金相当額の利益を受けたものとして贈与税が課税されることになります。
しかし、子供が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子供へ移転させて共有とすれば、贈与税は課税されません。

なお、この場合、親から子供への建物の持分の移転は、親から子供に対する譲渡となり、譲渡利益が生じるときは譲渡所得の課税対象になりますが、共有とするための譲渡及び親子間の譲渡であることから、居住用財産を譲渡した場合の特例は適用できません。

国税庁HP:親名義の建物に子が増築した場合より引用

 

 

ポイント

金銭に限らず個人から経済的利益を得たものは贈与税の対象となる。

所有者以外の者が建物を増改築しても、その所有権は所有者に帰属する。

共有名義と共有持分

先程の続きです。

親の建物を子の資金で増改築したのであれば、建物の持分を親名義から親と子の共有持分(共有名義)に変更することが必要です。

共有持分にするためには建物の所有権移転登記を行う必要があります。

 

所有権移転登記

不動産の所有者が変わった時に、新たな所有者情報を登録する手続きのことです。

不動産を売買したり相続した時などに、お世話になる登記の一種です。

手続きは管轄の法務局で行えます。

 

共有持分(共有名義)

共有名義とは不動産の所有権を持っている人のことです。

この建物の名義人は誰ですか

僕と妻の共有名義です。

 

共有持分とは複数の人が1つの不動産を共同で所有している時に、それぞれの人がその不動産について持っている所有権の割合のことです。

この建物の持分はどうなっているのですか

僕が6/10、妻が4/10です。

 

ここで最も注意しないといけないのは、建物の持分割合です。

例:親の建物価格が400万円で子が600万円の増改築資金を払った場合

増改築前の建物時価・・・400万円

増改築後の建物時価・・・1,000万円(400万円+600万円)

 

この場合、以下のような共有持分にしないと親は600万円の経済的利益を得たとみなされ贈与税の対象となります。

親の持分割合・・・4/10(400万円/1,000万円)

子の持分割合・・・6/10(600万円/1,000万円)

 

仮に持分割合を親(9/10)子(1/10)にしてしまうと、親は500万円の経済的利益を得たとみなされ贈与税の対象となります。

ポイント

単に共有名義にするだけではダメ。共有持分割合まで考えること。

注意

以上の試算はあくまで大雑把なもので、必ずしも正確とは言えません。

また、ここでは割愛しますが、上記の場合、親は譲渡所得の申告が求められる可能性があります。

実際に行う際には必ず税の専門家に相談しましょう。

 

所有権移転登記の登記原因

所有権移転登記をするためには民法又は民法の特別法に根拠がある何らかの原因が必要です。

頻度が高い登記原因として、「売買」「相続」「贈与」などが挙げられます。

また最近では離婚の増加に伴い「財産分与」も頻度が高まってます。

では今回の場合の登記原因は何になるのでしょう。

結論は親が子に負担する償金債務を、現金払いに代えて建物の所有権の一部を移転させる方法で贈与扱いを回避しているので「代物弁済」となります

民法482条

債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は弁済と同一の効力を有する。

この場合、債務者=親、債権者=子、負担した給付=増改築資金、他の給付=不動産。

大雑把に言うと僕が友人から130円を借りていた場合、130円の金銭による返済の代わりに130円のジュースを渡すことにより、僕の債務(130円を返す義務)と友人の債権(お金を返してもらう権利)が消滅します。

ちなみに友人に渡すジュースは100円でも150円でも代物弁済は成立しますが、その場合は税務上贈与とみなされるので注意が必要です。

朗報:既存建物の評価が低い場合

ここまで、建物の所有権持分割合登記原因贈与税や譲渡所得税などいろいろ難しく感じるところがあったと思いますが、シンプルな方法もあります。

 

それは工事完了までに贈与で全ての持分を増改築資金を負担する子に変更してしまうことです。

 

親からすれば贈与で建物を手放せば譲渡所得は発生しません。

多少贈与税を払ってでも、増築前に持分をすべて子に贈与してしまうのが一番シンプルでお勧めです。

例えば建物評価200万円であれば、基礎控除110万円を差し引いた90万円が贈与税の対象となります。

90万円であれば贈与税率は10%なので9万円を申告して完了です。

なお、贈与税はその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産で計算されます。

したがって上記の例の場合であれば2019年12月に100万円分贈与(→持分割合:親1/2、子1/2)、2020年1月に100万円贈与(→持分割合:全て子)にすれば基礎控除である110万円以内に収まるため贈与税の対象から外れます。(相続税精算課税適用時は除外されるので注意)

贈与の税率は高めなので、親名義の建物評価が高ければ無理せず、税率や安く控除も大きい相続時に取得すれば手です。

贈与税の速算表も参考として載せておきます。

 

【一般贈与財産用】(一般税率)

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

 

【特例贈与財産用】(特例税率)

この記事の事例のように直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。

対象が限定される分、控除幅は優遇されます。

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

 

登記の流れ

登記上の流れについては以下の通りとなります。

なお、ここでは親の建物について子が増改築を行い、増改築借入金を住宅借入金特別控除として適用させる場合です。

  1. 子の単独所有名義または親子共有名義とする
  2. 増改築による床面積等の表題部変更登記
  3. 所有権持分割合の調整

 

①子の単独所有名義または親子共有名義とする

住宅借入金特別控除を適用予定であれば必ず工事着工前までに、自己資金で当初に持分割合変更を行うのであれば工事完成までに済ませしょう。

自己資金で行う場合はここをスルーという選択もできます。

贈与基礎控除額である110万までの範囲内で持分割合を変更すれば対象となる税は登録免許税と不動産取得税のみです。

住宅借入金特別控除を適用予定であれば工事着工前に行う必要性については、この記事を参照してください。(不動産取得税や登録免許税も軽く触れています。)

 

②増改築による床面積等の表題部変更登記

増改築により面積や用途(店舗・居宅→居宅)が変更した場合には表題部変更登記が必要となります。

時期としては工事の目処が付いた時ですが詳細は業者に確認しましょう。

変更がなければスルーです。(居宅を改装程度なら該当しない可能性が高いです。)

登記の順番として、表題部変更登記が完了してから所有権移転登記や銀行の担保設定となる(根)抵当権設定登記となります。

金融機関で担保提供して担保設定を行う際は表題変更登記が完了している必要があるので、、最終金支払い日(=(根)抵当権設定日)から逆算する必要があります。

申請して即日完了ではないので注意しましょう。

なお、表題部登記は所有権などの権利部の登記を扱う司法書士ではなく、土地家屋調査士が担当となりますが、手間の割には費用が高いので自身で行うことをお勧めします。

申請可能な状態になったら速やかに行いましょう。個人申請の場合、専門家より完了に時間がかかることが多いです。

表題部登記

一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記記録のうち、土地・建物に関する物理的状況を表示した表示登記が記載されている部分のこと。

土地に関する登記記録の場合、「表題部」には「所在」「地番」「地目」「地積」「原因」「所有者」が記載されています。

建物に関する登記記録の場合、「表題部」には主たる建物の「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「原因」「所有者」が記載され、さらに付属建物についても同様の内容が記載されています。

注意

表題部登記は所有権などの権利部登記と違い、登記が義務です。

不動産登記法51条

1  第四十四条第一項各号(第二号及び第六号を除く。)に掲げる登記事項について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、当該変更があった日から一月以内に、当該登記事項に関する変更の登記を申請しなければならない。

※第四十四条第一項第三号は「建物の種類、構造及び床面積」です。

義務なので最高10万円の罰金があります。

義務のせいか分りませんが、表題部登記については登録免許税は発生しません。

 

③所有権持分割合の調整

①で子の単独所有にした場合はスルーです。

時期としては工事完了して最終金を支払う時です。

それ以外の場合はここが重要です。←本記事の要です。

ここで所有権移転登記(お勧めの登記原因は代物弁済)を行わないと親が贈与の対象となります。

また、持分割合の変更により贈与税の対象を回避しても旧持分の兼ね合いで親に譲渡所得が発生する可能性があるので、必ず事前に税の専門家に相談しましょう。

なお、ここでも登録免許税と不動産取得税は対象となります。

おわりに

自分以外の建物を自分の資金で増改築する際は正しい税や登記の知識を身に着けておく必要があります。

恐ろしいのは贈与税の知識不足故に「無申告加算税」「過少申告課税」が課されること。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

住宅ローンやリフォームローンで増改築を検討されている方はこちらも必ず読んでください。知識が欠けていると住宅借入金特別控除が適用されません。

 

免責

記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。

また、分かりやすさを重視して厳密ではない解説をしている部分があります。

本記事に基づく情報により実務を行う場合には、必ず専門家(税理士、司法書士、土地家屋調査士、税務職員等)に相談のうえ行ってください。