親の土地を借りて家を建てる人が、やってはいけない意外なことは?

こんにちは、親の土地に家を建てたcoo13世です。

 

突然ですがクイズです(^^)/

 

以下の4匹は、親の土地の上に、自身が建物を建てて暮らしています。

(土地=親名義、建物=子名義)

 

※個人間のやり取りと定義。

※この地域には権利金の慣習はあるものと前提。

 

さて、税務署が調査に入りました。

指摘を受けるのは誰でしょうか・・・

 

コロマージ

コロマージさん

 

親の土地を貸してもらっていることに感謝はしているので、近隣の相場程度の地代(通常の地代程度)を親に支払っている。

 

ただし親子の間なので、権利金までは払っていない。

 

コロプリースト

コロプリーストさん

 

 

親の土地を貸してもらっていることに感謝はしているが、家計にそこまで余裕はなく、地代は相場(通常の地代程度)の40%しか支払っていない。

 

家計に余裕もないことから、権利金も払っていない。

 

コロヒーロー

コロヒーローさん

 

 

親の土地を貸してもらっていることに感謝はしているが家計が苦しく、地代は一切支払っていない。

 

しかし、せめてものの思いで、土地の固定資産税だけは、親の代わりに支払っている。

 

コロファイター

コロファイターさん

 

 

金はあるが一切払っていない。借りている土地の固定資産税も、名義人である親が負担している。

 

 

答えはコロファイターさん!!

 

 

 

 

と思いきや、違います!

 

ここで指摘を受けるのは、最初に紹介した地代を払っている2匹です。

 

しっかり地代を払っている、コロマージさんやコロプリーストさん。

 

実はこの2人、

 

贈与税無申告の指摘を受ける可能性が高いです!

 

親の土地を借りて家を建てる方は、中途半端に地代を支払ってはいけません。

 

これが、この記事の結論です。

 

これだけ聞くと、なぜって思われる方が大半です。

 

この仕組みを理解するためには、以下3つの内容を理解する必要はあるので、説明していきます。

 

  1. 賃貸借
  2. 使用貸借
  3. 借地権と権利権

 

 

coco13世
読むのがめんどくさい方は、親への地代は、底地の固定資産税以上は払ってはいけないと、覚えておけばいいです。

 

coco13世
この記事を作成にする当たり、専門書はもちろん、税理士、司法書士の確認も取っております。

 

賃貸借とは

ある目的物を「有償」で使用収益させること、

あるいはそれを約する契約。

 

「賃貸借契約」の締結によって、

貸主(賃貸人)は目的物を使用収益させること、目的物を修繕すること等の債務を負います。

借主(賃借人)は賃料を支払うこと、目的物を返還する際に、原状回復すること等の債務を負います。

 

難しく感じますが、TSUTAYAでDVDをレンタルするイメージを、思い浮かべると分かりやすいです。

 

借主である僕は、TSUTAYAから目的物であるDVDを、お金を払って借ります。

また返還する際に、原状回復する義務が課せられます。

したがって万が一、DVDを紛失してしまったら、原状回復(弁償)しなければいけません。

 

さて本題に入りますが「賃貸借契約」では、地代の設定金額によって「贈与税」が課せられる可能性があります。

 

対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があった場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。

 

例えば、月額地代50万円の相場の土地を20万円で借りている場合。

借主は毎月30万円も得をしていることから、「著しく低い価額の対価で利益を受けた者」として、贈与税の対象となる可能性が高いことです。

 

相続税法9条の見解は、国税庁HPを参照してください。

 

相続税法第9条の「みなし贈与」について-資本取引等を巡る課税関係を中心として-

 

 

したがって先ほどのクイズで、

地代相場の40%しか払っていないコロプリーストさんは、

払っていない60%の地代分を利益とみなされ贈与の対象となるのです。

 

 

この理屈だけで考えると、

 

借りている土地の固定資産税程度しか払っていないコロヒーローさん

何も払っていないコロファイターさん

 

この2匹も地代分を得しているのに、何故該当しないのかと思われます。

この続きは、後述する「使用貸借」で説明します。

 

また、通常の地代を払っているコロマージさんも、贈与の対象となります。

こちらも後述する「借地権と権利金」で説明します。

 

使用貸借とは

借主が、貸主から目的物を「無償」で借りて使用収益し、後にその目的物を、貸主に返還する契約。

 

使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について、無償で使用及び収益をして、契約が終了したときに、返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。

 

「使用貸借」は、聞き慣れない言葉です

しかし、実は日常生活に溶け込んでいます(^^)/

 

友人から無償でDVDで借りる。

親から無償で車を借りる。

不動産の世界だと、親族間で無償で土地や建物を借りる。

 

キーワードは「無償」です。

 

有償にすると、賃貸借に変わります(゚∀゚)

 

そして使用貸借は、贈与税の対象外となります(^^)/

 

なぜなら、土地の貸し借りで、贈与の対象となるのは、前述した「地代」と後述する「権利金」の2つです。

 

地代において「使用貸借契約」は、民法で無償の貸し借りの権利を定めています。

 

したがって、そこに損得という利益関係は発生しません。

 

利益関係がなければ、贈与税の入り込む余地はありません。

 

また、権利金を支払うことで、借主の権利を強くすること(借地権)ができます。

しかし「使用貸借」は、そもそも無償であります。

したがって賃貸借のように、あえて借主の権利を強くする必要性はありません。

(借主の権利が強くなる=貸主の義務が強くなる)

 

このことから「使用貸借」では、権利金は不要となります。

 

不要である以上、贈与税の入り込む余地はありません。

 

以上のことから、先ほどのクイズで、権利金はもちろん、地代も一切払っていないコロファイターさんは、贈与税の対象外となります。

 

また、民法595条で「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」と定められいること。

過去の最高裁で「借地の固定資産税は通常の必要費に含まれる」との判例があること。

この2つの事実により、

固定資産税だけを払っているコロヒーローさんも、使用貸借と扱われ、贈与税の対象外となります。

 

 

余談

2020年の改正民法では「使用貸借」は、要物契約から諾成契約に変更となっています。

したがって、これまで「当事者双方の合意+目的物の引き渡しなどの給付」から「当事者双方の合意のみ」で契約が成立するようになり、契約終了についても文言が変更となっています。

これまでは、友人からDVD(目的物)を実際に借りた時点で「使用貸借契約」が成立しました。

ところが改正民法では、友人との無償貸し借りの合意があった時点で「使用貸借契約」が成立することになります。

 

借地権と権利金

借地権はかなり複雑なので、ここでは簡略な説明とします。

 

「権利金」とは、土地や建物の賃借権を設定したり、譲渡したりするときに、賃借人が地主・家主に支払う金銭のことです。

 

「借地権」とは、土地を借りて、その土地に自分の家や建物を建てられる権利のことです。

 

 

借地権(しゃくちけん)とは、借地借家法上の概念で、建物の所有を目的とする地上権、または土地賃借権をいう。

 

※ここでは、土地貸借権を前提としています。

 

賃貸借については民法で定めています。

しかしながら、TSUTAYAでDVDを借りるのと、第三者の地主から土地を借りるのでは、訳が違います。

せっかく土地を借りて家を建てても、貸主の都合で土地返還を請求されたら困ります。

 

そんなわけで、借主の権利を保護するために「借地権」というものが存在します。

「借地権」を設定することにより、契約期間が過ぎても、正当な事由がなければ、借主は契約を更新できるようになります。

 

coco13世
このことから、建物が建っている間は、ほぼ半永久的に、土地を借り続けることができると言われているよ。

 

権利金と地代を図で表すと、こんな感じです。

(へっぽこな図でごめんないさい。)

通常の地代の構成

 

借主の権利を確保するための借地権の対価として「権利金」

土地を利用することの対価として「地代」(通常の地代)

 

権利金を支払わない場合の図を表すと、こんな感じです。

相当の地代の構成

 

権利金を支払っていないため、土地を利用することの対価に加えて、権利金に対応する部分の地代も払う必要があります。

したがって通常の地代より、高い地代を支払わなくてはなりません。(相当の地代)

 

「通常の地代」「相当の地代」の違いは、上記の通りです。

 

計算式としては、

通常の地代=土地の価額×(1-借地権割合)×6%

相当の地代=土地の価額×6%

 

 

例:土地価格1,000万円、借地権割合40%の場合

通常の地代=1,000万円×(1-0.4)×6%=36万円

相当の地代=1,000万円×6%=60万円

 

したがって先ほどのクイズで、通常の地代は払っているも、権利金は納めていないコロマージさんは、

親(貸主)からコロマージさん(借地権者)に、「権利金相当額の贈与」があったと、みなされる可能性があります。

 

このことを「借地権の認定課税」と言います。

 

注意

権利金を授受する慣行がない地域では、権利金を支払わないことによる贈与の問題は生じません。

また前述した、使用貸借による土地の貸し借りの場合や、相当の地代を払っている場合も、贈与とみなされません。

権利金の一般的な相場は、借地権の価格の3~7割と大雑把なので、権利金を支払う場合は、事前に専門家に確認しましょう。

 

おわりに

個人同士が権利金を支払わず、地代においても、無償もしくは底地の固定資産税程度の支払いで、土地を貸し借りした場合は、何ら問題ありません。

 

むしろ、中途半端に地代を払うと「借地権の認定課税」や「経済的利益を得た」とみなされ、贈与税の対象となるため注意は必要です。

 

相続対策では、使用貸借より賃貸借の方が有利になることも多いです。

しかしながら、

「我が家は相続税と縁がない(相続財産が3,000万円+法定相続人×600万円の範囲内)」

「親族間の紛争の懸念は低い」

この2つに該当しているのであれば、使用貸借の方が良いです(^^)

(有償の場合、貸主は地代を不動産所得として、確定申告する必要もあります。)

 

どうしても地代を払いたい方は、地代でなく、

贈与の名目で、基礎控除110万円以内の範囲で、金銭を不定期に渡しましょう(^^)/

(支払日や金額を定めると、定額贈与に接触する可能性があるため。)

 

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

 

P.S 最初のクイズでお金を一切払っていないコロファイターさんのモデルは僕です。

 

 

免責

記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。

また、分かりやすさを重視して、厳密ではない解説をしている部分があります。

本記事に基づく情報により、実務を行う場合には、必ず専門家に相談のうえ行ってください。