身内名義の居宅を住宅ローンで増改築する際、事前にしておく1つのこと!

こんにちは、税法・不動産を得意とするファイナンシャルプランナー1級技能士のcoco13世です。

いきなりですが、親や身内など、

自分以外の建物を、自分が住宅ローンを組んで改装を検討されている方は、必ず目を通してほしいです!

 

この記事を投稿した一番の理由は、無知な不動産業者や銀行員、そして複雑な税制のしわ寄せが、顧客にいくことを防ぎたかったからです!

 

 

住宅ローンと聞くと、一軒家やマンションを購入した際や、新居を建てた際に、お世話になるイメージがあります。

しかしながら中古住宅の増改築も、立派な住宅ローンです。

 

中古住宅の増改築は「リフォームローン」のイメージが強いですが、税法上は「住宅ローン」に該当しますので、誤解してはいけません。

 

coco13世
リフォームローンと住宅ローンは、銀行が勝手に使い分けているだけ。

 

そして住宅ローンの専売特許とはいえば、「住宅借入金特別控除」です。

 

「住宅借入金特別控除」は、一般的に年末時点の残高の最大1%が還付対象となるため、家計に大きく貢献します。

 

さて本題に入りますが、増改築で「住宅借入金特別控除」を受けるためには、下記の要件は必須です。

 

自己の所有している家屋で、自己の居住の用に供するものの増改築等であること

国税庁HPより引用

 

本記事の結論になります。

 

「自己の所有している家屋の増改築」

 

この言葉がポイントとなります。

 

すなわち、当事者が業者と建物請負契約を締結しても、住宅ローンの債務者となっても、

リフォーム予定の建物が「自己の所有物」となっていなければ、住宅借入金特別控除は受けれません。

 

税務署のQ&Aにも、例が挙げられています。

Q:私は、今後、田舎に所有している住宅を増改築して居住の用に供する予定ですが、この場合、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできますか。

A:現在居住の用に供していない家屋であっても、自己が所有している家屋に一定の増改築等をして、その増改築等をした部分を居住の用に供した場合で、その他の要件を満たしていれば、その増改築等について住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。

(注)増改築等をした場合の住宅借入金等特別控除は、「自己の所有する家屋」に増改築等をした場合に限られますので、例えば親族など、他の人が所有する家屋に増改築等をした場合には、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

国税庁HP

 

したがって、住宅借入金特別控除を視野に入れるのであれば、

事前に所有権移転登記を行い「自己の所有する家屋」に、変更しておくことが必須です。

 

住宅借入金特別控除要件の詳細は、税務署HPで確認をしておきましょう(^^)

 

「自己の所有」以外にも、居住や返済期間等のルールがあります。

 

国税庁HP:マイホームを持ったとき1

 

 

「自己の所有とする」必要性は、理解してもらえたと思います(^^)

だが実際に実行しようとすると、いろいろな疑問が生じてくると思います。

 

そのため、ここからは実際にあった質問を基に、回答を作りましたので参考にしてください。

 

ポイント

住宅借入金特別控除は家屋の「自己所有」が必須要件である。

 

所有権移転登記とは

自己の所有する建物にするためには「所有権移転登記」を行う必要があります。

 

「所有権移転登記」とは、不動産の所有者が変わった時に、新たな所有者情報を登録する手続きのことです。

手続きは管轄の法務局で行えます。

 

実際にどのような場面で、新たな所有者情報を登録する手続きが必要になるのか。

 

4つの代表事例を挙げます。

 

  1. 不動産を売買したとき
  2. 不動産を相続したとき
  3. 不動産を贈与したとき
  4. 離婚に伴う財産分与で、不動産を受渡したとき

 

これらの場合は「所有権移転登記」を行い、旧所有者から新所有者へ変更します。

 

また不動産には「共有制度」がありまして、1つの建物に複数の所有者というケースがあります。

 

例えば夫婦2人が、連帯債務者として住宅ローンを取組みした場合は、不動産の名義は、夫と妻の2人の共有名義にすることが多いです。

また持分割合も決めることができ、夫の持分割合を6/10、妻の持分割合を4/10とすることもできます。

 

似た語句に注意

「所有権移転登記」の他に「所有権保存登記」という言葉も出てきます。

例えば新築の建物の場合は、所有者は当然ながら存在しません。

そのため最初の所有者は「所有権保存登記」を行い、所有者を明示します。

そして将来的に、その建物を売却するときは、「所有権移転登記」を行い、所有者を持主から買主に変更させます。

なお、「所有権保存登記」は義務ではないので、旧所有者が行っていないこともあります。

 

【重要】どの時点で「自己の所有する家屋」にするのか

この記事の中で、最も重要な内容です。

 

自己の所有する家屋に変更する(所有権移転登記)時期を間違えると、取返しがつきません。

 

結論から述べるます(^^)v

 

必ず工事着工前に行ってください!!

 

 

例えば2月契約、5月着工、8月完成の場合、

所有権移転登記は、4月までに行っておくべきです。

 

「着工」という期限を過ぎると、後の祭り(>_<)

 

確定申告直前となる、翌年の1~2月に所有権移転登記を行うのは、もちろん論外ですが、「建物完成時」に初めて所有権移転登記を行うのもアウトです!!

 

特に銀行で住宅ローンを組む際に

「最終金支払い(完成)時までに自己の所有持分を入れてください」

そう言われると思いますが、これは銀行側の住宅ローンのルールであって、住宅借入金特別控除とは別次元の話です。

 

coco13世
銀行の住宅ローンのルールの1つとして「住宅ローンの物件は債務者の持分を有していること」は入っていますが、これは完成時までであることが大半だよ。

 

また、着工までに所有権移転登記を行うことを忘れていて、後でこっそりやっても、税務署にバレます(>_<)

 

なぜなら、住宅借入金特別控除の申請を行うにあたり、税務署に「建物請負契約書」「登記事項証明書」を提出するからです。

 

「建物請負契約書」には、契約日付から建物完成までのスケジュールが記載されています。

 

そして、いつ所有権移転登記の手続きをしたかは、「登記事項証明書」を見れば一目瞭然です。

 

したがって「所有権移転登記日付」が、建物請負契約書の「着工日付」より後の場合は、明確な理由が必要です。

 

たとえば、農地転用許可や開発許可の遅延。

これらの遅延で、実際の着工が2ヵ月遅れて、完成も2ヵ月遅れていれば、明確な理由に該当します。

この場合であれば、着工金を支払った領収書や、振込書の日付が証拠となります。

 

ポイント

必ず「工事着工前」に所有権移転登記を済まし、自己の所有する家屋にする。

 

登記原因はどれを選択するのか

着工までに、所有権移転登記を行う重要性は、分かってもらえたと思います。

続いて気になるのが「登記原因」です。

 

所有権移転登記を行う際には、民法又は民法の特別法に、根拠がある「何らかの原因」が必要となります。

 

先程の4つの事例の場合、登記原因は以下の通りです。

 

  1. 不動産を売買したとき→「売買」
  2. 不動産を相続したとき→「相続」
  3. 不動産を贈与したとき→「贈与」
  4. 離婚に伴う財産分与で不動産を受渡したとき→「財産分与」

 

一般的には、着工前の所有権移転登記は「贈与」をお勧めします!

 

「売買」にすると、変更前の所有者は、金銭を受け取ることから、確定申告の手間が発生します。

また、変更前の所有者に金銭を渡すぐらいなら、その資金を充当して、住宅ローン借入金額を少しでも減らすべきです。

 

贈与であれば、変更前の所有者は関係ありません!

ただし一定の金額を超えると、変更後の所有者は、贈与税の申告が必要となります。

贈与税

相手からの贈与によって、受け取った財産に課せられる国税。

対価を支払わないで、不動産の名義を自分に変更してもらった場合も、みなし贈与として該当します。

年間(1月1日~12月31日)110万円超の贈与を受けた方は、贈与税の対象となり、贈与年の翌年の2月1日~3月15日に、申告が必要となります。

 

また、余談となりますが、所有権移転登記を行う際には、不動産の価格に応じ登録免許税」「不動産取得税」が発生します。

 

①登録免許税

 

上記の場合、「売買」「贈与」「財産分与」は、不動産価格の2%が「登録免許税」として、法務局に支払う義務があります。

 

例:1,000万円の建物を「贈与」にして取得した場合

1,000万円×2%=20万円が登録免許税となります。

 

ただし居住用建物の売買で、要件を満たしていると、優遇措置があります。

 

また「相続」は他の3つと違い、自分の意思とは裏腹に取得することもあります。

したがって登録免許税は、不動産価格の0.4%と安めです。

 

例:1,000万円の建物を「相続」にして取得した場合

1,000万円×0.4%=4万円が登録免許税となります。

 

②不動産取得税

 

不動産取得税 = (固定資産税評価額 − 控除額) × 3%

自分の意思とは裏腹に取得することもある「相続」は対象外です。

 

また、50㎡~240㎡以下の居住に用するもので、次のいずれかに該当する場合は、一定の控除特例があります。

 

①:昭和57年1月1日以降に、建築されたものであること(固定資産課税台帳に記載された新築日で判断)

②:①に該当しない住宅で、新耐震基準に適合していることについて、証明がなされたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入している、一定のものであること(証明方法はこちら)

③:新耐震基準に適合しない住宅で、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する、一定の中古住宅であること

 

新築された日

控除額

平成9年4月1日以降

1,200万円

平成元年4月1日から平成9年3月31日まで

1,000万円

昭和60年7月1日から平成元年3月31日まで

450万円

昭和56年7月1日から昭和60年6月30日まで

420万円

昭和51年1月1日から昭和56年6月30日まで

350万円

昭和48年1月1日から昭和50年12月31日まで

230万円

昭和39年1月1日から昭和47年12月31日まで

150万円

昭和29年7月1日から昭和38年12月31日まで

100万円

 

不動産取得税の軽減にかかる控除額などについては、各都道府県によって若干の相違がありますので、不動産所在の各都道府県税事務所にご確認下さい。

 

所有権持分割合の考え方

続いて気になるのが、所有権の持分割合です。

例えば父親の単独名義の建物持分のうち、

全てを当事者(子ども)に変更するのか、

先ほど説明した共有名義にする(父親1/2、当事者1/2)のか、

どちらが正解なのか。

 

結論から言いますと、

 

所有権持分割合に決まりはありません!

 

極論を言えば、持分割合は1%でも問題ありません。

 

税務署に何度も確認しました(゚∀゚)

 

持分割合が存在していれば、共有名義でも自己の所有する建物と認められます!

 

そして共有名義を利用すれば、登記原因を「贈与」で所有権移転登記を行っても、基礎控除である110万円以内に、調整することは可能です。

 

例えば、親名義の居宅の固定資産評価額が300万円の場合、

 

全部贈与にすると、居宅持分割合は子ども100%となりますが、親から300万円分の贈与を受けたことになり、贈与税を払わないといけません。

 

一方、一部贈与として、持分割合は親2/3、子ども1/3としておけば、親から100万円分の贈与を受けた扱いとなります。

しかし100万円は、贈与の年間基礎控除額110万円の範囲内となるため、贈与税は発生しません。(贈与の申告不要です。)

個人的には、将来自分が相続するのであれば、一部持分で良いです。
なぜなら、贈与と相続を比較した際、相続の方が税制面で有利だからです。

 

登録免許税は贈与2%に対し、相続は0.4%です。

不動産取得税は、相続は対象外です。

贈与の基礎控除が110万円に対し、相続の基礎控除は3,000万円+法定相続人の数×600万円です。

 

注意

相続時精算課税を選択した受贈者は、それ以降の贈与は、全て続時精算課税制度での贈与となり、110万円控除は受けれなくなります。

父は相続時精算課税、母は通常(暦年贈与)の場合、父からの贈与については、基礎控除110万円は適用できませんが、母親からの贈与は、基礎控除110万円は適用されます。

 

司法書士等に依頼する必要はあるのか

ありません。

自身で法務局に出向けば可能です。

 

新築や分譲の住宅ローンで、銀行が司法書士を指定してきます。

これは所有権保存登記や所有権移転登記と同時申請が可能である、「(根)抵当権設定登記(担保設定)」を確実に行うためです。

 

銀行側からしたら、融資はしたけど、同日に担保設定が行えなかったら大変なので、個人に委ねず、司法書士を指定するのです。

 

しかしながら、着工前では、まだ融資も発生せず、当然ながら担保設定も行わないため、銀行の許可を得る必要もありません。

したがって、自身で行うこともできますが、時間や労力を惜しむ方は、司法書士に依頼した方が良いです。

 

なお、司法書士については、将来的に「担保設定」「二度目の所有権移転登記」(この事は他の記事で説明します。)に、お世話になります。

 

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そのため司法書士を指定しておけば、若干ながら、司法書士報酬金額をサービスしてもらえるかもしれないので、銀行もしくは業者に教えてもらいましょう(^^)

 

銀行によっては、特定の司法書士でしか取組しない場合があるので、銀行には必ず事前確認をしましょう。

 

銀行や業者は理解しているのか

大半の方は、ここで挙げた内容について、理解されていないと思います。(特に着工前に自己の所有する家屋にすること)

そのため、将来的に親や身内の建物を、借入してリフォームされる方は、事前に知識を身に着けておかなければなりません。

 

銀行員はお金に強い印象があるけど、それは「返済を見極める審査」であって「税制面」ではないことを肝に命じましょう。

 

銀行の目的は、融資を行い返済してもらうこと!

業者の目的は、リフォームを行い売上や利益を確保すること!

 

顧客の「住宅借入金控除」までは、頭が回っていません!

 

おわりに

繰り返しますが、増改築における住宅借入金控除は、

 

「自己の所有する家屋に増改築を行う」

 

これが必須要件となります。

 

そのため工事着工時までに、建物持分を一部でも良いので、住宅ローン債務予定者に、変更しておかなければいけません。

 

また建物新築や分譲住宅購入と違い、増改築の所有権移転登記は、当事者に委ねられる場合が多いです。

したがって、当事者がしっかり知識を身に着けることが、何よりも重要です。

 

繰り返しますが、この記事を投稿した一番の理由は、無知な不動産業者や銀行員、そして複雑な税制のしわ寄せが、顧客にいくことを防ぎたかったからです!

 

住宅借入金特別控除は、一般的に最大で年末残高の1%還付と、非常に恵まれた優遇措置なので、要件を見逃さず活用していきましょう。

 

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

 

引き続き、こちらの記事も目を通しましょう。

増改築してそのままにしておくと、贈与税が課せられることがあります。

 

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免責

記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。

また、分かりやすさを重視して厳密ではない解説をしている部分があります。

本記事に基づく情報により実務を行う場合には、必ず専門家(税理士、司法書士、土地家屋調査士、税務職員等)に相談のうえ行ってください。