本記事では1989年から1996年のジャンプ黄金時代に連載されていた『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』の名場面ベスト20の後半(11~20)を紹介していきます。
アバン復活やハドラーの最期など、後半も名場面が多いですね。
ダイの大冒険 名場面11・・ポップVSシグマ
ダイの大冒険27巻45Pより引用
脅威の騎士・シグマ。
攻撃呪文だけでなく回復呪文まで使いこなすポップを見て、シグマは”賢者”なのかと問いただします。
シグマの問いに対してポップは賢者を否定し、上記画像のセリフを言いました。
…そう
おれを呼ぶなら大魔導士とでも呼んでくれっ!!
ポップは”賢者”でなく”大魔導士”と名乗ったのには師匠であるマトリフの考え方が影響しています。
- 誰が聞いてもおそれいるカッコいい肩書き!
- 世界に1人しかいない最強の呪文使いの肩書き!!
これこそがマトリフの考える大魔導士という肩書きだったのです。
この頃のポップはダイやヒュンケルと同様に特記戦力になっており、大魔導士という肩書きに相応な実力もあったため、シグマもポップを大魔導士として認めていました。
ダイの大冒険 名場面12・・♢の9キルトラップ(その1)
ダイの大冒険28巻76Pより引用
ポップ・炎に死す…!!!
ダイとハドラーの雌雄対決の直後、キルバーンが最高傑作のキルトラップ、”ダイヤの9”(9つの炎に飲み込まれる罠)を発動し、ダイとハドラーの抹殺しようとします。
間一髪のところでポップが飛び込み、氷系呪文でなんとか持ちこたえます。
しかし、外部から助けることができないため、罠の中にいるダイ、ポップ、ハドラーの3人でなんとかしなければなりません。
ハドラーは朽ち果てる寸前。
ダイも力が残っていないので、ポップ1人で打開する必要がありました。
ポップは弱気になるも、ハドラーに”アバンの使徒とは何か”と喝を入れられ、なんとか脱出する方法を見つけます。
ただ、ポップの思いついた脱出方法ではハドラーを見捨てることになるのですが、ハドラーは「すぐに死骸に化ける身だから忘れろ」と言ってくれます。
ハドラーも全生命力を振り出して脱出の手助けをしてくれましたが、脱出できたのはダイだけ。
ポップは脱出に失敗して、ハドラーと共に炎のなかに残されてしまいます。
しかし、事実はポップは脱出に失敗したのでではありません。
脱出の直前に朽ち果てるハドラーを見捨てることに抵抗があり、脱出をためらってしまったのです。
ハドラーはポップがためらったことに対して問い詰めますが、自身の誇りを賭けて、仲間と力を合わせ、必死に頑張って正々堂々と戦うハドラーを見捨てることができなかったと答えます。
ポップの言葉を聞いたハドラーは思わず涙を流し、生まれて初めてポップを生かすために神に祈ります。
オレのような悪魔のためにこいつを死なせないでくれっ!!!
…神よッ!!!!
この祈りが上記画像です。
ハドラーが生まれて初めて神に祈った内容が『ポップを生かすこと』なんて、最初の頃のポップとハドラーの関係性からは絶対に想像できませんでした。
ダイの大冒険で、好きなキャラランキング1位と2位のポップとハドラーの2人がメインとなる、この名場面は個人的には一番好きな場面でもあります。
ダイの大冒険2巻24P、25Pより引用
最初の頃のハドラーとポップ(とダイとアバン)
ハドラーは小物感丸出しで、ポップはただのヘタレでした。
ダイの大冒険28巻74P、75Pより引用
本場面のハドラーとポップ。
ダイの大冒険で最も”成長”を見せた2人は、序盤から想像がつかない別人です。
ポップとハドラーについてはこちらの記事で熱く語っていますので、ぜひ読んでみてください。
ダイの大冒険 名場面13・・ダイヤの9キルトラップ(その2)
ダイの大冒険28巻79P、80P、81Pより引用
ポップ・炎に死す…!!!
名場面12の続きです。
炎の中で死を待つだけのポップとハドラー。
ポップはダイを救ったことに満足し、泣いているハドラーに対し「一緒にアバン先生のいる”あの世”に行こうぜ」と声をかけます。
ハドラーは諦めずにポップの生還を神に祈っている状況。
そしてダイヤの9キルトラップの最後の瞬間。
・・・そう全てが燃えつきる瞬間、炎が消えます!
なんと、炎を消した(罠を破った)のは、ハドラーとの戦いで死んだ伝説の勇者アバンだったのです!
…困りますよポップ
勝手に”あの世”なんかに行かれちゃ…
…そんな所へ行っても…私はいません…!
ダイの大冒険ではピンチの際に誰かが助けにくる場面は多かったのですが(主にヒュンケル)、そんな数多くのピンチな場面で一番印象に残ったのはこの場面。
最高傑作であるダイヤの9キルトラップをあっさり打ち消され、動揺を隠せないキルバーンの顔も見過ごせません。
ダイの大冒険 名場面14・・ハドラーの最期
ダイの大冒険28巻95Pより引用
復活!!!大勇者
名場面12、13からの続きとなります。
ポップとハドラーをキルバーンのトラップから救ったアバン。
ハドラーは朽ち果てる前にアバンに熱い遺言を残してくれます。
- おまえの弟子たちは俺の生き方を変える程素晴らしかった!
- おまえの力でダイたちを勝利に導いてやってくれ、それがオレへの唯一の礼だと思え!
ハドラーはアバンだけでなくポップにも言葉を残します。
- 人間の神は中々粋なやつのようだ。
- オレの生命と引き換えに、オレがかつて奪った大切な者をおまえたちに返してくた。
- そのうえ・・・
オレの死に場所を…
この男の腕の中にしてくれるとは…な…!
そのうえ・・・の続きのセリフが上記画像となります。
「そのうえ・・・」のセリフの後にハドラーは朽ち果ててしまうため、想いだけであり言葉としてはアバンやポップには伝わっていません。
ハドラーが初めて神に祈った結果、起きた現象は以下の通り。
- 「ポップを救ってほしい」祈りは叶った。
- それだけでなく、自分が過去に奪ったポップ達にとって最も大切な者を返すことができた。
- 何度も死闘を繰り返し、ある意味、最も信頼できる男の腕の中が死に場所となった。
漫画において、主要キャラの死に様は読者の心に残りやすく、非常に重要です。
このハドラーの最期は悲しみだけを残すわけでなく、全てを成し遂げ、悔いのない人生を全うした感じが伝わってきたことから、非常に感動的でした。
なお、新アニメでもハドラーの最期の場面の話だけは、エンディングがいつもと異なりました。
ダイの大冒険 名場面15・・アバンVSキルバーン(初戦)
ダイの大冒険28巻129Pより引用
死神との対決!!
アバンの首元に突如、鎌を近づけるキルバーン。
そんな危機的状況にも関わらず、余裕の表情のアバン。
しかも自分がアバンを襲うことを知っていながら、ダイ達を先に行かせた。
その余裕も気に食わないキルバーン。
ダイ達を先に行かせ、自分があえて残った真意を知ったキルバーンはすぐにアバンにトドメを刺そうと鎌を動かそうしますが、なぜか半身が動かず動揺も隠せません。
そう、キルバーンの行動は全てアバンの想定内だったのです。
…どうです?
自分が呪法の罠にはまった気分は…!?
半身が動かないキルバーンに対し、アバンは剣を抜きながら上記画像のセリフを言い放ちます。
ダイ一味は皆、脳筋メンバーであるため、不意打ちや呪法といった直接的な戦いを行わないキルバーンとは相性が非常に悪く、いつも後手に回っていました。
また、キルバーン自身も強く、物語中でも常に余裕に満ち溢れていましたが、そんなキルバーンを動揺させたのがこの場面でした。
罠使いを罠ではめるなんて、アバン先生にしかできない芸当ですね。
ダイの大冒険28巻121Pより引用
ダイの大冒険 名場面16・・バーンパレス突入
ダイの大冒険28巻176Pより引用
明かされた空白
バーンパレスに向かうダイ一味。
そこには、かつて父バランとダイが二人がかりで力を合わせ砕いた扉がありました。
しかも、本拠地を守るこの扉は、かつての扉以上に強力な可能性もあります。
「ここまで来て立往生かっ」と焦るポップ。
そのとき、アバンが皆の前に立ち、ハドラーに敗れた後のことについて語りだします。
カールのお守りにより、なんとか一命を取り留めるが、ダイとポップの旅立ちに名乗りせず陰ながら見守っていたアバン。
生きていることを隠していた理由は2つ。
1つ目は、ダイの潜在能力が自分を大きく上回り、現在の自分が共に行動をしても成長の足をひっぱるだけ。
2つ目の理由が上記画像の通り。
私自身も心身を鍛え直し、私にしかできない新能力を身につけなければ、ダイたちと共に戦う資格はなしっ!!
他者には優しいが、自分にはとても厳しいアバン先生。
セリフの通りアバンは心身を鍛え直し、得意とする破邪の魔法を極めるため、破邪の洞窟で修行していたのです。
修行の中で新能力である”破邪の秘術”を身に着け、バーンパレスを守る強固たる扉をあっさり開けてしまいました。
他サイトではこの場面はスルーしていますが、個人的に実社会で壁にぶつかったとき、このセリフを思い出し行動に移すことができた経緯がありました。
また、自身の専門領域を高めることは、社会を生きていくうで重要であることから名場面20選にランクインしました。
ダイの大冒険 名場面17・・ヒュンケルの最期
ダイの大冒険30巻140Pより引用
さらば!闘いの日々よ
この名場面にセリフはありませんが、この真っ白に燃え尽きたヒュンケルが全てを物語っています。
アバン合流後、ヒュンケルは後方の足止め役を担い、無数の魔物の相手を務めます。
突如現れたハドラー親衛隊の強敵ヒムも死中に活の策を取り撃退。
ヒムに「勝者に敗者の生命を奪う権利があるなら、オレは生命でなく死を奪う」と言い仲間に引き入れます。
ヒムを仲間に引き入れた直後、オリハルコン部隊11人がヒュンケルとヒムを始末するために襲ってきますが、ヒュンケルは生命すら超える力”闘志の力”でオリハルコン部隊を撃退。
オリハルコン部隊の王マキシマムに瀕死のヒムを人質に取られるも、かつてヒュンケルが死を看取った陸戦騎ラーハルトの登場により無事解決。
ラーハルトに使命と意志を託し、生まれて初めて戦いも宿命も忘れて、傷ついた心と体を癒し眠っている姿が上記画像です。
この場面は漫画”あしたのジョー”の矢吹の最後の場面を連想させます。
全キャラ中、最も戦闘に明け暮れた戦士ヒュンケルの実質的最期となる名場面でした。
ラーハルトに全てを託す場面もヒムが嫉妬する程の熱い友情を感じさせてくれました。
ダイの大冒険 名場面18・・ミストバーンの最期
ダイの大冒険34巻82P、83Pより引用
宿命の終焉
大魔王バーンの幹部であり、ヒュンケルの闇の師であるミストバーンとの最後の闘い。
ヒュンケルに憑依するために精神内に乗り込むミストバーンは、なぜヒュンケルを弟子にしたか理由を明らかにします。
誰かに憑依して強さを得るミストバーンは、普段はバーンの真の肉体に憑依していることから最強です。
しかし、バーンへ肉体を返したときに途方に暮れてしまうため、次に憑依する肉体をどうするか常々考えていました。
ミストバーンの結論は、自分の理想の肉体を手に入れるため、一から全てを育て上げること。
その理想の肉体の対象こそが幼年期のヒュンケルだったのです。
ミストバーンにとってヒュンケルはただの”道具”だったのです。
ミストバーンは精神内にあるヒュンケルの核を破壊し完全に憑依しようと試みますが、ヒュンケルは根拠はないがミストバーンは必ず自分を狙う確信があり、精神内で光の力を解放してミストバーンを消滅させます。
ミストバーンを精神内で消滅させ、倒れこむヒュンケルに対して手を差し伸べる光の師アバン。
そのアバンに対し「あなたにとってオレはなんですか?」と問う。
その問いの解答が上記画像です。
…決まっているでしょう
…誇りです…!
ヒュンケルとアバンの師弟関係はヒュンケルの勘違いにより、わだかまりがありました。
アバン復活時もヒュンケルが後方の敵の追撃役を買ったため、アバンとの和解を示す場面は見られなかったのですが、この場面でようやく2人の和解を見ることができました。
自慢や優秀といった言葉でなく”誇り”と言い切るところが、アバン先生の素晴らしいところでもあります。
余談となりますが、この場面だけ見るとミストバーンは悪いヤツと思われがちですが、ミストバーンも実は情に熱いキャラです。
ダイの大冒険 名場面19・・バーン戦(2戦目)
ダイの大冒険35巻65Pより引用
生命でぶつかれ!!!
真バーンの尋常なる強さの前では、ポップ達が助けに来ても戦局を変えることができません。
そして、バーン1戦目と同じく、バーンはカラミティウォール(衝撃の光壁)を放ち、戦いを終わらせようとします。
バーンが高笑いするなかポップとダイは勝利を諦めません。
2人はバーンの最強奥義の放った瞬間に一瞬のスキが生じることを見抜いていたのです。
ポップはバーンの奥義全てを受けてでも、ダイにとどめのチャンスを作ってみせると断言。
そんな2人のやり取りに心を打たれたヒムはカラミティウォールを真っ向から立ち向かいます。
ラーハルトもポップを初めて尊敬し、ダメージで目が見えないにもかかわらずバーンに立ち向かおうとします。
ヒムが迫りくるカラミティウォールを力でこじ開け、ラーハルトと共に玉砕覚悟でバーンに立ち向かうときに上記画像のセリフを放ちます!
くれてやるぞ!!!オレの生命!!!!
少し前まで敵だった2人の覚悟と気迫が伝わり、タイトルの通り生命を賭けて戦う迫力ある場面でした。
玉砕覚悟のラーハルトとヒムを前にしたバーンも、うかつな技では2人を迎撃できないと判断し、ポップの狙い通り最強奥義である天地魔闘の構えを使わさせました。
真バーンを警戒させるほどの気迫を感じさせる、この場面のラーハルトとヒムは特段にカッコいいです!
ダイの大冒険 名場面20・・最終回
ダイの大冒険37巻170P、171Pより引用
さらば!!!愛する地上よ
大魔王を倒したのも束の間。
キルバーンの黒の結晶(大爆弾)により、再び地上消滅の危機に陥ります。
黒の結晶の事実を知った瞬間、アバンとマァムがキルバーン(本体)を倒し、ダイとポップが黒の結晶を装着したキルバーン(人形)を抱え、地上で誘爆しないよう上空に駆け上がります。
手放す時間がなくダイとなら爆発で一緒に死ぬのも悪くない言うポップ。
しかし、ダイは自分1人が黒の結晶の爆発の犠牲となるためにポップを蹴り飛ばします。
「なぜなんだよォッ、ダイ」と叫ぶポップに対するダイの心情が上記画像の通り。
こうする事が…!!こうして自分の大好きなものをかばって生命をかける事が…!!!
ずっと受け継がれてきた……おれの宿命なんだよ!!!!
ダイの大冒険は”自己犠牲”が一つのテーマであり、仲間のために自分が犠牲となることが一種の美徳とされています。
ヒュンケルしかり、クロコダインしかり、ポップしかりです。
ダイの両親も共に自己犠牲で命を落としています。(父バランはダイを助けるために、母ソアラもバランを助けるために命を落としています。)
だからこそ、最後の最後でポップの反感を買うことを理解しつつも、ダイは自分だけが犠牲になる選択を取ったのです。
悲しい結末と思いましたがダイはどこかで生きていることが判明したため、ダイの大冒険はハッピーエンドを迎えることができました。
ダイの大冒険:名場面まとめ
ダイの大冒険を改めて読んでみると、名場面や名言が多い名作漫画だと感じます。
とくにハドラー最終決戦からアバン登場までは本作屈指の名場面が詰め込まれており、新アニメも毎週見ていましたが毎回楽しみでした。
また大人になって改めて真剣に読んでみると、子供時代には見えてこなかった部分も見えたりもします。
- バランの父としての想い
- ハドラーの中間管理職としての立場
- ミストバーンの責務と友情の揺れ
新アニメにおいても、製作者側の愛と熱意が強いおかげで、本記事でお伝えした名場面も感動ものになっています。
新アニメは無料トライアルを利用すれば、お金を払うことなく視聴できるので、まだな方はぜひアニメでも感動を味わってください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
『新装彩録版』のサイズはジャンプコミックスの単行本版と同じですが、表紙が新たに書き下ろしされ、連載時のカラーページを再現収録しているため、単行本版や文庫版の上位互換と言えます。(内容は変わりません)
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