2016年10月にマレーシア1人旅のなか、観光の一環としてキナバル山ツアーに参加してきました。
マレーシア最高峰のキナバル山の頂上まで登ってきましたので、実際の日程、難易度、登ってみた感想をお伝えします。
- 2004年:富士山
- 2011年:マチュピチュ山
- 2016年:キナバル山
- 2022年:伊吹山、御嶽山、白山、宮之浦岳、木曽駒ケ岳、六甲全縦走、ダイヤモンドトレイル半縦走
- 2023年:槍ヶ岳、奥穂高岳、立山、恵那山、養老山脈全縦走、熊野古道小辺路縦走
今でこそ登山経験は一般の方より多いですが、キナバル山挑戦当時は完全素人。ガイドの補助もあって登頂に成功しました。
キナバル山登山の概要
キナバル山は日本の一般の山と違いルールが厳格化されています。
山小屋を確保しないとキナバル山に挑戦できない
キナバル山は1日の登山客数に制限があり、山小屋予約が原則条件となります。(山小屋の収容人数は130人ぐらい)
したがって、キナバル山の登山計画を練るには、航空券より先に山小屋を確保する必要があります。
またグループごとに専用ガイドの同行が義務づけされています。
個人で山小屋とガイドの予約を行ってもよいのですが、万が一できていなかった場合を考えると、リスクヘッジも兼ねてオプショナルツアーを活用したほうがよいです。
オプショナルツアーだと山小屋予約とガイド手配のほか、空港があるコタキナバル市街地と登山口までの移動手段や登山初日の宿泊手配も含まれているため、手続きが非常に楽です。
キナバル山は2泊3日が一般的
- 1日目:コタキナバル市街地⇒キナバル公園本部のペンション
- 2日目:公園本部⇒ティンポホンゲート(1,867m)⇒山小屋(3,273m)
- 3日目:山小屋⇒キナバル山頂上⇒山小屋⇒公園本部⇒コタキナバル市街地
荷物は公園本部と山小屋で置いていけるので、2日目の朝に公園本部で登山に不要な荷物(スーツケースや一般の靴など)を預けて、3日目の朝は頂上に行くだけの最小限の荷物で挑むことが可能です。
コタキナバル市街地からキナバル公園本部までは車で2時間ほどのため、1泊2日のスケージュールで初日の早朝に市街地を出て、一気に山小屋まで行くことも可能。
2泊3日の場合、初日は時間に余裕があるため、コタキナバル市街地を朝に出発するプランだと、ラフレシア鑑賞や温泉観光などに参加して夕方前に公園本部に到着するスケージュールが多いです。
キナバル山の登りの標準コースタイムは9時間半ほど
初日は標高1,867mのティムポホン・ゲート(登山口)から標高3,273mのラバン・ラタ・レストハウス(山小屋) まで登ります。(標準コースタイム6時間)
高低差1,400mは富士山で例えると吉田コース五合目から頂上と同程度。
キナバル山の登山コースは整備されており、屋根付きの座れる休憩場所も多く設置しているため、登山初心者でも時間をかければ登れます。
2日目は標高4,095mの頂上を目指します。(標準コースタイム3時間半)
日の出時間に山頂到着を目指すため深夜に山小屋を出発します。
岩場は霧で濡れていることもあるので、滑りにくい靴がおすすめ。
深夜発なのでヘッデン(懐中電灯を頭につけるやつ)も必須。
キナバル山旅行記(日程・感想)
実際にキナバル山ツアーに参加したときの日程や道中の感想をお伝えしていきます。
1日目:コタキナバルに到着
マレーシアの首都クアラルンプールからコタキナバルへ。
ボルネオ島の入口であるコタキナバルは国際空港であるため、香港、中国、韓国、台湾、フィリピンからも入れます。(僕自身、帰りは台湾経由で帰国)
夜9時過ぎにコタキナバルの空港に到着し、空港から20分ほどでコタキナバル市街へ到着。
空港からホテルまでタクシーで向かい、軽く夜の街を散策した後は翌日の2泊3日のキナバル山ツアーに備え、お休みしました。
コタキナバル初日にお世話になったKKスイートホテルアットガヤストリート。(今は閉鎖してるっぽい)
部屋が狭すぎで身支度はベットの上だけ。
個人的にはキナバル山下山後にお世話になった『シティテル エクスプレス コタキナバル』ホテルがおすすめです。
部屋は綺麗で広く、中心エリアにあるので周辺に食事する場所も多かったです。
2日目:ラフレシア鑑賞・ポーリン温泉を経てキナバル公園ペンションへ
朝6時起床。
近くの飲食店でパンを食べで軽く街を散策。
朝7時半に送迎車がきて、キナバル山の公園本部のペンションへ寄り道しながら向かいます。(キナバル公園本部はコタキナバルから北東88㎞に位置している)
コタキナバル市街地から1時間ほどで休憩地点であるナバル村に到着。
30分ほど休憩タイムがあったので、村を探索しながら明日登る予定のキナバル山を眺めていました。(雲に隠れているのがキナバル山の山頂)
キナバル山を拝んだ後はラフレシアを拝みに、キナバル公園方面へ車で1時間程向かいます。
ラフレシアは1年のうち数日しか咲かない幻の花ですが、無事拝むことができました。
匂いはキツイと聞いていましたが、特段気にならなかったです。
ツアーだと事前に咲いている場所の情報を収集してくれるので、ラフレシア鑑賞の確率を上げたい方はツアーを利用しましょう。
ラフレシアを拝んだ後は、キャノピーウォーク体験を行うためポーリン温泉へ向かいます。
ポーリン温泉はかなり広く、温泉の他にもキャノピーウォークを含むアトラクションやビュッフェ形式の野外レストランもあります。
地上41mの空中散歩はスリル満点です。
温泉は水着を持参すれば入れますが、足湯だけでも十分楽しめます。
ポーリン温泉で昼食を済ませた後は40㎞ほど離れたキナバル公園本部に向かいます。
ペンションだけでなくキナバル山登山ゲートも公園本部にあります。
公園本部で明日の登山の手続きを行います。
キナバル公園本部から撮った道路。
キナバル登山手続きが終わった後は本日泊まるペンションで軽く昼寝。
公園本部を散歩がてら一周歩いた後は、ビュッフェ形式の夕食を済ませ明日の登山に備え就寝。
ペンションの感想として夕食はかなり豪勢であり、寝どころもフカフカのベッドがあり普通のホテルのような感じでした。
シャワー兼トイレは外にあり夜は虫が集まってくるため、虫が苦手な方は注意しましょう。
3日目:キナバル公園本部から山小屋へ
公園本部のスタート地点から本日泊まる山小屋を目指します。
昼寝したにも関わらず8時間ぐっすり熟睡。(この睡眠時間が後に足枷となる)
朝食をがっつり食べた後、昨日登山手続きしたセンターハウスへ向かい登山に不要な荷物を預けます。
センターハウスでガイドと初対面。
ガイドは60過ぎのおばちゃんでしたが、ベテランらしく初日の足元はクロックス、スコールも折りたたみ傘で対応していました。
登山中も余裕で僕のペースについてきてくれました。
センターハウスで手続き完了後、登山口であるティンポホン登山ゲートまで車で移動(約20分ほど)
ティンポホン登山ゲートを通過したら、いよいよキナバル登山の始まりです。
登山口入口で記念写真。
少し肌寒かったのでパーカーを着用しています。
山小屋まで6㎞ありますが、1㎞間隔で休憩所があるためトイレは気にしなくでも大丈夫です。
4㎞地点当たりで一度激しいスコールがきましたが、4.5㎞(標高2960m)地点で長く休憩していたら雨はあがりました。
スコールはよくある話なので、レインウェアはもちろんザック内が濡れないようにレインカバーも必須です。
雨が降っていたときは肌寒さを感じましたので防寒着もあった方がよいです。
初日は山林の中を歩き、少しの雨なら木が遮るため、多少の雨はそこまで気になりません。
キナバル登山道はかなり整備されており、自然と人工物で形成された大・小の階段をひたすら登っていく感じです。
西遊旅行さんの写真を引用。
階段に慣れていないとかなり疲れます。
普段は登山を全然していなかったので、休憩所にたどり着くたびに休憩していました。
キナバル山では日本では見られない数多くの植物を見ることができるので、植物好きの方は退屈しません。
動物については休憩所でリスが見れたぐらいです。
キナバル山の植物で一番有名な食虫植物のウツボカズラ。
ガイドに事前に頼んでおくと、見つけたら教えてくれます。
3,000mぐらいまではジャングルの中を歩く感じですが、3,000mを超えたあたりからは、木が少なくなり徐々に景色が変わってきます。
標準コースタイム6時間のところ7時間かけて山小屋に到着。
山小屋は売店があり、食事する部屋も100人以上収容できたりと今思えばかなり豪勢な山小屋でした。
暖房もしっかり効いているので、部屋の中は半袖でも大丈夫です。
食事も質素な感じは全くなくパン等は食べ放題でした。
ただし食事の種類は多くなかったので日本からカップ麺やインスタントコーヒーの元は持参しておいたほうがよいです。
日本のカップ麺は人気が高いので海外では話のネタになりますよ。
山小屋では日本人は僕を含め2人しかおらず、慣れない英語で頑張って他の方々と会話をしたのは海外登山ならではの良き思い出になりました。
食堂から撮った風景
雲海を見てすごい場所まで来たな~って感傷に浸っていました。
寝室は2段ベッドが2つの4人部屋。
翌日は深夜2時にガイドと待ち合わせのため、18時には夕食を済ませ19時過ぎに消灯タイム。
しかし、ここで問題が発生!
前日に8時間熟睡していたため、疲れているのに寝付けない。
標高も高いせいか若干ながら体に違和感も感じるように・・・(今思えば軽度の高山病か??)
意識すればするほど違和感を感じるようになり、まさに負のスパイラル。
そうこうしているうちに時間は着々と進み、気づけば23時を過ぎていました。
4日目:キナバル山の山頂(4,095m)へ
本日は深夜から早朝を目指し、昼過ぎにはコタキナバル市街地到着となかなかハードなスケジュール。
前日はなんとか寝るも24時半には目が覚め、寝たのか寝ていないのか分からない感じ。
午前1時ごろから皆が起き出しザワザワするため、寝るのはあきらめて横になってまったりしていました。
山頂登山に向けて準備をして外に出ると、雨は降ってなく一安心するも強風でした。
午前2時にガイドと山小屋の食堂で待ち合わせて早速スタートです。(ガイドは別の山小屋で宿泊)
若干寒さを感じたので、スタート地点からレインウェア上下を着用。
ほとんど寝られなかったせいか、疲労もかなり残っており序盤からペースは遅め。
夜のため、懐中電灯の光で皆が今どのあたりにいるかも分かり、かなり上の方の光を見ると『自分もあそこまで登るのか』と軽く絶望感もありました。
標高上昇とともに景色も変わり、最後の休憩所(標高3700m弱)を通過する頃には、辺りはすっかり完全な岩場化になりました。
下山時に上から撮った最後の休憩所(緑色の屋根が休憩所)
最後の休憩所手前ぐらいからロープを使って登る箇所も出てきます。
ロープは大変ですが、足への負担が減ると思うと楽に感じました。
最後の休憩所通過後は岩場をひたすら歩いて登っていく感じです。
途中、なだらかな坂をひたすら上る箇所もありますが、階段と違い足への負担は少ないため苦にならなかったです。
急な坂はロープが用意されているため危ない箇所はとくにありませんでした。
緩やかに見えますが実際はかなりの急斜
岩場は急斜なため、当日雨が降っていると足場が滑りやすく難易度は上がります。
4,000mを超えたあたりに最後の山場があります。
文字通りの『山場』。
ひたすら積み重なった大きな岩々を手を使って登っていきます。
ガイドにルートを確認しながら、岩登りの基本である『三点支持』で登れば、登山初心者でも難なく登れます。
頂上が視界に入ったときは感激でした。
頂上までのコースを振り返ると、登山2日目は寝不足と高山エリアが相まって全体的にペースが遅かったです。
1日目の方が登る時間も距離も長く、また着替え等荷物も多いにも関わらず、2日目の方が大変でした。。
大変だったゆえに頂上にたどり着いたときの感動は言葉で表せません!!
頂上に着いたときは6時前であり、空も明るくなり景色も徐々に見える感じだったので、下山時には景色も楽しむことができました。
下山時には写真を撮ってる人が多かったです。
キナバル山を制覇した余韻と雄大な景色のおかげで、宿泊した山小屋までは苦痛なく下山できました。
山小屋に到着後はシャワーを浴び、朝食を取り一休憩した後は下山の準備。
午前9時に山小屋から下山スタートです。
寝不足でしたが、天気も快晴で何も問題なく下山できると思っていたいましたが、登山初心者であることが浮き彫りに!
勢いよく階段を下っていったら2500m付近で足がガクガクな状態に陥りました。
前日の疲労による筋肉痛の痛みも出てきて下山も一苦労。
最後の方は階段を一段降りるたびに痛みを感じるため苦痛でした。
最終日の下山は筋肉痛との戦いになるため、キナバル山挑戦の少し前に登山で筋肉を刺激しておくことや、前日の山小屋到着後にしっかりマッサージをしておくことをおすすめします。
終盤は足を引きずりながら下山。
最後は若干ながら登り坂であるため、登山口であるティンポホン登山ゲートを通過した後は駐車場で大の字で倒れていました。(最後の登り坂は反則)
その後はバスが迎えに来て、センターハウスがある公園本部まで送ってくれます。
公園本部では『キナバル登山完了証』を発行してもらえます。
公園本部でガイドとお別れした後はコタキナバル市街地へ戻ります。
コタキナバルに帰る道中もキナバル山が見えるため『今朝あの頂上にいたんだな』って感傷に浸っていました。
キナバル山登山で必要なもの
- 速乾性抜群のアンダーウェア
- 化学繊維・ウール素材の長袖シャツ
- 動きやすい化学繊維のパンツ
- 透湿性が高く上下分離されたレインウェア
- 防寒具(フリースorダウン)
- 25~35リットルのザック
- 登山用のレインカバー
- 滑りにくい靴
- グローブ
- ヘッデン
- 保温力と軽さを重視した水筒
- スポーツドリンクの粉
- アミノバイタル
- 携帯食
- ポケットティシュ
- タオル
- カップラーメン
キナバル山は赤道が近い山なので雪はめったに降りませんが、山頂は4,000m以上と富士山より高いため、山の装備はしっかり行いましょう。
山頂付近は風を遮るものがないため、防寒具はもちろん温かい飲み物を持参できる水筒も持参をおすすめします。
ヘッデンやグローブなどはキナバル公園本部でも調達可能ですが、売切れのリスクはあるので日本でしっかり揃えておきましょう。
持ち物については下記記事で具体的にお伝えしていますので参照してください。
キナバル山登山の5つの反省点
- 足腰の鍛錬不足
- 筋肉痛対策を怠っていた
- 装備が不十分
- 英語力不足
- 植物の知識不足
これからキナバル山に挑戦される方は僕と同じ轍を踏まないでください。
足腰の鍛錬不足
キナバル山は1泊2日の山行で高低差は2,200mあり、富士山の富士宮・吉田ルートよりハードです。
そんなキナバル山に登山トレーニングゼロで挑むと、疲労との戦いに追われ景色を楽しめなくなりますし、せっかくの楽しい登山が苦行に変わります。
また初日は乗り切れても2日目でガタがきます。
日帰りでよいので登山で普段使わない筋肉を刺激しておきましょう。
筋肉痛対策を怠っていた
山小屋に到着したらマッサージやストレッチをしっかり行いましょう。
初日にしっかり労わらないと2日目が大変ですし、キナバル山下山後の観光にも支障が出てきます。
アミノバイタルなど筋肉疲労軽減のサプリメントも有効。
①と重複しますが、事前の登山トレーニングも筋肉痛緩和対策になります。
装備が不十分
キナバル山は観光用の山でコースは整備されているとは言え、スコールはありますし、3,500mを超えた辺りからは岩場メインになりますし、標高も4,000mの領域に入るため、富士山と同じような登山装備が望ましいです。
富士山と違いキナバル山ではスコールもあるため、レインウェアなどの雨対策装備は必須。
山頂付近は風もあり冷えるため、防寒対策も必須です。
英語力不足
ガイドとの会話は英語になります。
行きは登ることに必死で会話は少なかったですが、下山時は余裕もあり会話の機会は多くなるので、最低限の英語力はあった方がガイドとの会話が盛り上がります。
また『足が痛い』『胸が苦しい』など、自身の体調不良を訴える単語も覚えておきましょう。
植物の知識不足
ボルネオ島は植物の宝庫でもあり、ガイドは様々な植物の紹介をしてくれます。
僕自身、食虫植物しか知らなかったので、もう少し知識を着けておくべきだったと反省。
日本では見られない珍しい植物も多いので、事前にネットで調べておくと登山の楽しみが増えます。
キナバル山登山はオプショナルツアーがおすすめ
前述した通り、キナバル山は原則として1日目に登山口を通過して山小屋に宿泊し、2日目に山頂と下山となるため、山小屋を確保することがキナバル登山の条件となります。
山小屋はステラハーバー社が管理しているため、山小屋予約するためには直接ステラハーバー社とやり取りするか、旅行会社を通じてやり取りするかの2択となります。
ただし、ステラハーバー社の接客の評判はよろしくないため、オプショナルツアーに参加する方法をおすすめします。
オプショナルツアーであれば、山小屋の確保だけでなく市街地からの移動手段やガイドの手配も含まれています。
2泊3日であればラフレシア鑑賞や温泉ツアーも含まれています。
海外現地オプショナルツアーならKKdayがおすすめです。
- 良心的な値段
- 海外オプショナルツアーを専門としている
- 世界各地80か国、2万種類を超える豊富なプラン
- 日本語対応&クレジットカードで楽々決済
- wi-fiやSIMカードも取扱いしている
海外登山で2泊3日でガイド付きのため値段は高めですが、一生の思い出になりますよ。
登山完了証は今も飾ってあります。
まとめ:キナバル山は登山初心者でも楽しめる
海外登山で4,000mと聞くと不安な気持ちになりますが、キナバル山はコースもしっかり整備されておりガイドも付くので登山初心者の方でも安心して頂上を目指せます。
ボルネオ島は空路アクセスもよく、キナバル山も登山口までのアクセスは良いので、興味を持たれた方はぜひキナバル登山のオプショナルツアーに参加して登頂の感動を味わってください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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