サガフロンティア2が発売した1999年は、グランツーリスモ2、アークザラッド3、バイオハザード3、ポケモン金銀といった有名作品の続編が次々と発売された年であります。
当時のスクエアにおいても、ファイナルファンタジー8、聖剣伝説レジェントオブマナ、クロノクロスといった主力作品の続編が発売されていました。
1999年はゲーム界において激動の年でしたが、サガフロ2はファミ通プラチナ殿堂入りソフトに選ばれております。
しかし、この殿堂入り評価はスクエアのブランドによるものであり、本当の意味での評価ではありません。
サガフロ2はこれまでのサガシリーズから『あらゆる点』が変更されたことから、当初は低評価作品だったのですが、『あらゆる点』が徐々に頭角を現し、サガフロ2を名作へと伸し上げたのです。
本記事では、魅力に化けた『あらゆる点』について解説していきます。
サガフロ2の魅力①:シナリオを最も重視
サガフロ2が従来のサガシリーズと決定的に違うのが、シナリオを重視していること。
これまでのサガシリーズはシナリオやキャラへの想いなど二の次でした。
醍醐味と言えば『戦闘』と『自由』から生み出された『やり込み』でした。
ロマサガ2は『戦闘』と『自由』の代表作品で、キャラに感情移入する余裕はなし。
いかにして、迫りくる強敵と互角にやりあえるメンバーを育成できるかが醍醐味でした。
サガフロ2では、これまで重視していた『戦闘』と『自由』を『シナリオ』に転換したのです。
シナリオに転換したことにより、サガフロ2ではキャラへの感情移入が容易となり、想い入れのキャラによるドラマは感動を呼び起こし、心に響く場面をプレイヤーに提供してくれました。
ぶっちゃけ、ネタや悪ふざけを除く名言・名場面をサガシリーズで抽出すれば、サガフロ2が上位独占です!
名言・名場面を3つ紹介します。
サガフロ2名場面①:1269年 南の砦で
何者かの策略により、ギュスターヴの陣営である南の砦が無数のモンスターにより襲撃を受けます。
狙いは自分と分かっていたギュスターヴは、自身と同じ術不能者であり子分の存在であるフリンと、ギュスターヴのお守役であったシルマール先生の愛弟子であるヴァンだけでも逃がそうとします。
馬鹿者!お前(ヴァン)を死なせたりしたら、シルマール先生に申し訳が立たん。
それに、連中の狙いは俺だろう。
俺から離れれば、それだけチャンスもある。
当然ながら、ギュスターヴに心酔しているフリンとヴァンは拒みます。
しかし、命令と言われ、フリンはギュスターヴの意志を優先し、拒むヴァンを連れて逃げ出します。
フリンとヴァンはフリンの養子であるダイク率いる軍と合流。
ヴァンをダイクに引き渡すとフリンは想定外のことを言います。
命令は果たした。
ギュス様の所へ戻る。
フリンは助かる見込みのないギュスターヴの元へと向かうのでした、
翌朝、ヴァンやダイクが戻ると皆の姿はなく、『ギュスターヴの剣』のみが残っていました・・・
歴史上では、ギュスターヴ、フリン、ギュスターヴの護衛をしていたヨハンは、ここで亡くなったことになっています(亡骸は未発見)
ここでの名場面はギュスターヴとフリンの友情です。
10代の頃のギュスターヴは、術不能者ゆえに国外追放されたことから非常に荒れており、友人はどんどん遠ざかっていました。
手下として残ったのは1人だけ・・・
その1人こそが、ギュスターヴと同じく術不能者であったフリンでした。
フリンはどんなに乱暴をされても、同じ境遇であることを理由にギュスターヴの元を離れませんでした。
ある日、フリンが野盗に誘拐されたとき、父の力を借りようとしたケルヴィンに対し、ギュスターヴは下記のようなセリフを言います。
フリンは俺が助ける。
あいつは俺の仲間だ。
トマス郷(ケルヴィンの父)の力は借りたくない。
結果として、ケルヴィンとギュズターヴの2人で野盗に挑み、フリンを助けます。
このことから、10代の頃からギュスターヴとフリンは強い友情で結ばれていたのでした。
その後も多くのイベントを共にしており、ギュスターヴとフリンの友情は強く結束されていきます。
ちなみに、ここでいう2人の友情は貴族であるケルヴィンのような『対等な友情』でなく『子分と親分』という友情で10代から死ぬまで変わることはなかったです。
- ヴァンと共に逃げ延びて、生き残ってほしいと願うギュスターヴの想い
- 死ぬと分かっていても、ギュスターヴと最期まで共に過ごしたいフリンの想い
この2つの想いが、『南の砦で』シナリオから伝わってきました。
ギュスターヴは口では「ヴァンを死なせたくない。だからヴァンを連れ出して逃げろ」とフリンに言っていますが、本心はフリンが自分を置いて逃げることは、拒否すると分かっていたので「ヴァンを連れだして逃げろ」という口実を作ったわけです。
『南の砦で』はメインキャラが亡くなる悲しいイベントですが、2人の友情が確認できる熱いイベントでもあります。
サガフロ2名場面②:1227年 ギュスターヴ追放
アニマの力は無くとも、ギュスターヴは生きています。
私に宿り、私が育み、私が産み、私が乳を与え、私が育ててきました。
あなたにとっては、王家を継がせるためだけの存在でしょうが、私にとっては、命を分け合った大事な息子です。
捨てることなどできません。
王位継承とも言える『ファイアブランドの儀式』でアニマがないことが判明したギュスターヴ。
術至上主義のこの世界では、王家がアニマを持っていないことなど許されないことであり、父ギュスターヴ12世は母ソフィーにギュスターヴを追放すると言います。
追放宣言に対する母ソフィーのセリフが上記内容です。
ソフィーには長男ギュスターヴ以外に次男フィリップと長女マリーがいましたが、ギュスターヴの身を案じギュスターヴと共に追放される茨の道を歩むのでした。
王位継承しか考えていない父と違い、術不能者(この世界では異質な存在)を1人の人間としてみなし、味方になってくれる母親の愛情がヒシヒシと伝わってくるイベントでした。
サガフロ2名場面③:1239年 病床の母
俺は、どんな顔をすればいいんだ。
悪さばかりして困らせて、俺のせいで追放されて、こんな異国の地で病に倒れ、苦労ばかりで、いい事なんか何も無くて、
まだ若いのに、寂しく死んでいくんだ。
そんな……それなのに……
俺はお母様に、どんな顔で会えばいいんだ。
泣けばいいのか、笑えばいいのか、どうしたらいいんだ、教えてくれケルヴィン。
……何も考えなくていいんだ。
ソフィー様に会って、泣きたくなったら泣け。
笑いたければ、微笑んでみせろ。
これまで二人で生きてきたんだろう。
ソフィー様を一人にしておいていいのか?
母ソフィーが危篤状態にも関わらず、姿を見せないギュスターヴ。
ケルヴィンはギュスターヴに立ち会うように説得します。
上記のセリフは、ケルヴィンの説得に対するギュスターヴの想いとケルヴィンのアドバイスです。
自分が術不能者であるばかりに王妃であった母親を不幸にしたという、自責の念に駆られるギュスターヴ。
そして、そんな弱みを見せられる数少ない友人ケルヴィン。
ギュスターヴとケルヴィンの友情が伝わってくる場面でもあります。
この話以降もケルヴィンに弱みを見せることがあるギュスターヴ。
そんなギュスターヴに敬意を払っているケルヴィン。
2人の信頼と友情関係は本物であり、ギュスターヴ亡き後のケルヴィンはギュズターヴの意志を引き継ぎ、本物語において重要な役割を果たします。
ギュスターヴとケルヴィンの友情も、フリン同様に本物語では欠かすことはできません。
サガフロ2の魅力②:新たな戦闘スタイルの導入
サガシリーズの絶対的な魅力といえば独自の戦闘システムです。
もちろん、サガフロ2も例外ではなく、シナリオでも重視されている『アニマ』と一騎打ちの『デュエル』が新システムとして導入されました。
サガフロ2新システム①:アニマ
アニマとは術の源となる力のことで、生命や物に宿る魂・精霊のような存在。
サガフロ2では『アニマ』という存在がシナリオだけでなく、戦闘にもすごく絡んできます。
アニマは大きく『水』『樹』『火』『石』『音』『獣』に分けられ、例えばHPを回復する『生命の水』は『水』と『樹』のアニマが根源となるため、双方のアニマを引き出せる環境でないと使うことはできません。。
アニマを引き出すために必要な『物』は2つ。
- 『ファイアブランド』『氷の槍』など、無限のアニマを内包した『クヴェル』
- 『木刀』『石斧』など、人がクヴェルを真似て作成した『ツール』
氷の槍を装備すれば『水』のアニマ、木刀を装備すれば『樹』のアニマを引き出すことが可能となり、『生命の水』という『樹』」と『水』の合成術を使えるようになります。
また、アニマは『物』以外に『地形』によっても引き出すことができます。
例えば、石切り場のダンジョンあれば『石』のアニマを、氷のダンジョンであれば『水』のアニマを、『クヴェル』や『ツール』に頼らず引き出すことができます。
サガフロ2において『クヴェル』は無限のアニマを内包していることから、耐久性も無限であり何度使用しても壊れることはないですが、『ツール』は使用回数に制限があり、最終的には壊れる仕様です。
そのため、戦闘においても単に武器や防具の性能だけでなく、耐久度や引き出せるアニマの種類を考慮したうえで、装備を考える必要が出てきます。
そして、アニマを語るうえで欠かせないのが『鉄』という存在である!
『鉄』はアニマの流れを阻害するため、術至上主義の世界では忌み嫌われている存在です。
しかし、戦闘においては『鉄』製武具は大いに活躍する。
『鉄』製の武具の利点・欠点は以下の通り。
一般の武具と比べて、攻撃力や防御力は高い。
アニマの流れを阻害するため、敵からの術による攻撃は軽減される。
耐久性は無限であり、壊れる心配はない
アニマの流れを阻害するため、最大JP値(FF・ドラクエでいうMP)が大きく減る。
ターンごとの回復JP値も減る
僕自身、ラスボス戦では術をあまり使わないキャラは鉄製の武具で固めました。
全員が術にこだわる必要はないです。
シナリオにおいてはギュスターヴが『鉄』に着目します。
術不能者のギュスターヴにとって『鉄』装備時の欠点はないからです。
ギュスターヴは自分専用の『鉄』製の武器を造ります。
また『鉄』製武具を装備した『鋼鉄軍』を編成します。
そして、鋼鉄軍の力で覇権を握ったことから『鋼の13世』とも呼ばれるようになります。
攻守に優れ、アニマによる術を軽減してしまう鋼鉄軍の前では術使いは歯が立ちません。
偽ギュスターヴが鋼鉄兵を率いて攻め込んだ『サウスマウンドトップの戦い』は、鋼鉄兵を相手にツールを装備した軟弱な歩兵や弓兵で戦わなければならず、サガフロ2はもちろん数あるゲームの中でも難関と評されています。
歴史に例えるなら、鋼鉄兵は織田信長の鉄砲隊のような革新的かつ強力な存在だったわけです。
サガフロ2新システム②:デュエル
サガフロ2では、敵との戦闘時にRPG王道であるパーティー戦闘の他に、一部の敵においては味方代表VS敵代表という『デュエル』を戦闘形式として選ぶこともできます。
デュエル時には4つのコマンドの組み合わせにより技や術を使うことができます。
例えば『集中、樹、水、防御』というコマンドを入力すると、集中で精神力を高めた後、『生命の水(樹+水)』が発動しその後に防御となります。
術だけでなく技もコマンド入力でき『ためる、ためる、ためる、けさ斬り』で『ベアクラッシュ』という強力な剣技が使えます。
注意すべき点は、正しいコマンドを入力しても技や術が必ず発動するわけではないこと。
既に閃いた技や学習後の術は発動率が高まる仕様。
デュエルの利点・欠点は以下の通り。
技や術を使うときに、必要となるWPやJPの消費ポイントを抑えれることできる。
剣技「ベアクラッシュ」であれば、パーティー戦闘であればWP消費「10」だが、デュエルならWP消費「1」である。
デュエルの方が、一般的に技を閃きやすく、術も学習しやすい。
運も絡むが、コマンドを知っていれば、序盤でも高ランク技も修得可能である。
長いダンジョン等でWPやJPを温存しておきたいとき、デュエルは便利です。
技の閃きにおいても、例えば、槍技最高峰の『無双三段』はパーティー戦闘の場合、『極楽連衝』から閃くことになりますが、デュエルの『けん制、払う、払う、突く』の方が閃きやすいです。
また、デュエルであれば、下位互換技の『極楽連衝』を閃いていなくても『無双三段』を閃くことができます。
一騎打ちのため、相性の悪い敵だと敗け=全滅リスクが高まる。
戦闘終了後、デュエルのメンバーしか成長しない。
デュエルは戦闘が長引きやすく、装備品(ツール)の消耗は激しくなりがち。
一番の欠点は、やはり全滅リスク。
サガフロ2新システム③:年齢
サガフロ2ではアニマとデュエルの他に『年齢』という面白い要素が導入されました。
サガフロ2では、ステータス画面で年齢を確認することができます。
『年齢』はステータスに大きく影響し、一般的に若いうちは最大HPやWPやLP(ライフポイント)は多いですが、老いと共にステータスは落ちていきます。
そのため、15歳から86歳まで現役で戦闘に参加するウィルは『年齢』に大きく影響され、最終決戦でメンバーに参加したとき、その弱体化に驚いたプレイヤーも多かったはず。
あれだけ鍛えたのに、あの最大HPはやばいと思ったプレイヤーは僕だけでないはず・・・
老いの長所は1つだけあり、最大JPだけは年齢に比例して増えていくところ。
年齢というリアルな数値をゲームに取り入れた仕組みはおもしろかったです。
時間軸を取り入れたサガフロ2だからこそ、うまく取り入れることができた仕組みでした。
サガフロ2の魅力③:水彩画を採用
サガフロ2が発売された1999年は各ゲーム会社が現実に近い映像(3D)に力を入れていました。
そのため、当時のファミ通等のゲーム雑誌でも映像は評価の1つでした。
FFシリーズは映像においても最先端であり、FF7に度肝をぬかれたプレイヤーは多かったはずですし、同時期に発売されたFF8は更に進化した映像でした。
前作のサガフロ1も3D映像を意識していましたが、サガフロ2はそんな映像の流行とは一線を画す。
サガフロ2は2D水彩画という異色な存在で勝負に出ました。
2Dの水彩画はSFCの古き良き時代の映像を思い出させ、また全体的に落ち着いたサガフロ2では結果的に当たりでした。
サガフロ2の魅力④:ギュスターヴという魅力溢れるキャラの確立
サガフロ2の主人公は誰か?
FF6と同様に、最初から最後までプレイヤーが操作するキャラが異なる作品では話題になるテーマです。
- 最初から最終決戦まで戦闘に参加するウィル
- 最終的にプレイヤーが操作するウィルの孫ジニー
- ウィル編の宿敵であるエッグに『ファイアブランド』と『ギュスターヴの剣』の二刀流で挑む、正統なる後継者グスタフ
どれも主人公に相応しいですが、本作品のキャッチフレーズを思い浮かべると答えが出ます。
主人公の死。そこから本当の物語が始まる。
このキャッチフレーズから主人公はギュスターヴとなります。
サガフロ2で高評価を受けた大きなポイントはギュスターヴという存在ではないかと思うほど、ギュスターヴはプレイヤーを惹きつけるキャラです。
ギュスターヴは王家として生まれたにも関わらず術が使えないために、厳格な父に国を追放され自虐的になりますが、母親ソフィーや友人フリン、ケルヴィンの支えによって成長し、やがて自ら国を興し覇者となっていく、波乱万丈なストーリーでした。
ギュスターヴの死後も後継者争いや混乱に乗じる者が現れ、ストーリーは複雑化していきました。
ギュスターヴは残念ながら物語の最中に死んでしまいますが、死後も様々な人物に影響を与えていることをプレイしていると気づきます。
これから紹介するキャラはギュスターヴの影響をとくに受けています。
ギュスターヴの影響を受けた者①:ヨハン
ヨハンはサソリという組織に身を置く暗殺者。
サソリの暗殺者は周囲のアニマに溶け込むことができるため、誰も気づくことができません。
ヨハンは対象者以外にも手を出すサソリに失望し組織を抜けますが、追手に粛清されそうになります。
しかし、間一髪のところでギュスターヴが気がつきます。
術不能者であるギュスターヴの前では、周囲のアニマに溶け込む技は通用しなかったからです。
「馬鹿な、なぜ気づかれた!完全にアニマを消しているのに!」と追手の暗殺者も驚愕。
ヨハンにとってアニマとは暗殺のための道具でしかなかったため、アニマを感じないギュスターヴに対し興味と安らぎを感じました。
作中でもヨハンは「興味が湧いた。それ以上に、この人の声に従うのが心地よかった」とギュスターヴを評しています。
厄介事にも関わらず自分を助けてくれたことに恩義を感じたヨハンは、ギュスターヴと共に行動することになります。
しかし、組織によるサソリの毒に蝕まわれていたヨハンは着々と死に向かっていた・・・
2人の出会いから9年後。
ギュスターヴの陣営が襲撃された際、ヨハンは死に場所を決めます。
ギュスターヴが少しでも長く生き延びるように、ヨハンは護衛を買って出ました。
ギュスターヴもヨハンの決意を受け止め、陣営に残ることに対し反対はしませんでした。
そして、別れの際に「また、会おう」と、これまでの感謝の言葉も送ります。
ちなみに、ここでいう「また、会おう」は『生きて』また会おうでなく、『来世で』『あの世で』また会おうという意味だと推察されます。
迫りくる大量のモンスターに、これまで身に着けた暗殺術で単身立ち向かうヨハンですが、サソリの毒により戦闘の都度LPを失っていきます。
もはや戦える状況ではないことは本人が一番良く分かっていました。
ヨハンはサソリの暗殺者であったにも関わらず、ギュスターヴと出会ったことにより最期は人を守る立場として逝ったわけです。
ギュスターヴのカリスマ性に惹かれ、最期までギュスターヴのために戦ったヨハンは、出番こそ少なかったですが記憶に残るキャラでした。
ギュスターヴの影響を受けた者②:エッグ
本作品のラスボスであり、ナイツ家の宿敵でもあるエッグ。
特徴なのが、意志あるクヴェルで人に寄生する。(持つと手放せなくなる)
エッグは強いアニマを持つ人間と融合し、世界を秘密裏に支配しようとしますが、ウィルや息子のリッチに何度も邪魔をされます。
人類にとっての強さとは、個人の強さではないことをウィルとの戦いで学習したエッグは、戦乱のなか組織を編成します。
そして、組織を率いる個(リーダー)の力として目をつけたのが、なんとギュスターヴの存在でした。
世間ではギュスターヴ亡き後も、ギュスターヴの再来を渇望する者が多かったのです。
ギュスターヴに成りすましたエッグ(偽ギュスターヴ)の元には、不満分子を持つ多くの人間が集まり、最終的には諸侯を脅かす程の存在になります。
偽ギュスターヴ軍の強さの秘訣は鋼鉄軍であり、ギュスターヴ以降、初めて鋼鉄軍を実践で用いたのが皮肉にも人間でなく人類の敵であるエッグだったわけです。
結果として、ギュスターヴという存在を利用したエッグの思惑は大成功でした。
ただの寄せ集め手段だと舐めてかかったケルヴィンの愚息チャールズは、偽ギュスターヴ軍との戦いで敗死。
しかし、チャールズの息子であり、ギュスターヴの血筋を持ったデーヴィド率いる連合軍の前に偽ギュスターヴ軍は敗北。
この連合軍と偽ギュスターヴ軍との戦いこそが、サガフロ2の難関と評される『サウスマウンドトップの戦い』です。
プレイ感想として、まともに戦うと一方的に蹂躙されるため、偽ギュスターヴ軍は激強かったです。
サウスマウンドトップの戦い後、エッグは逃走しますが、ナイツ家の血筋を持つウィル、ジニー、ギュスターヴの血筋を持つグスタフ達に敗れました。
『アニマを全く持たない』本来ありえないはずの性質を持ったギュスターヴと『アニマの象徴』とも言える進化したクヴェルのエッグ。
ギュスターヴとエッグは対局の位置にあり、本来ならば交わることがなかったものの、ギュスターヴが残した影響力により皮肉にも交わることになりました。
1300年の『ギュスターヴ(偽)出現』イベントは、エッグがギュスターヴを認めたと言っても過言でない出来事だったわけです。
エッグがギュスターヴの存在と交わったことにより、ギュスターヴ編とウィル編も本格的に交わることになりました。
ギュスターヴの影響を受けた者③:デーヴィド
ケルヴィンとギュスターヴの妹マリーの長男がチャールズであり、チャールズの息子がデーヴィドです。
主要戦闘キャラのグスタフとは従弟の関係でもあります。
デーヴィドは各諸侯の連携と『鉄と術の混成軍』という新たな発想を用いて、偽ギュスターヴ軍を撃破します。
その後の和平条約でスピーチをしますが、その内容を読むとギュスターヴの影響を受けていることがわかります。
皆さん、我々はようやく、ここにたどり着きました。
世界中の人々が集い、平和のために力を結集したのです。
しかし、ここに到るまでには、多くの汗と涙が流され、多くのアニマが失われました。
この尊い犠牲を忘れてはなりません。
そしてまた、この平和は、多くの先人達の労苦に負うものでもあります。
特に、このハン・ノヴァを建設したギュスターヴ公は、鉄と技術で新しい時代をもたらしました。
皆さんの中には、ギュスターヴ公はそれまでの秩序を破壊し、戦いと混乱を招いたと、お思いの方もあるでしょう。
しかし、ギュスターヴ公が我々に教えてくれたのは、人間は自分の意思で、自分の思うものに成れるのだということです。
人がいかにあるかは、生まれやアニマで決まるのではないと、身を持って示されたのです。
また、ギュスターヴ公の周りでは多くの人々が、公を支えました。
ギュスターヴ公のような人物でさえ、友を、信頼できる仲間を必要とするのです。
我々ならば、なおさら協力が必要なのです。
スピーチ内容の半分がギュスターヴです。
デーヴィドはギュスターヴの生き様を高く評価しています。
だからこそ、未来を見据え、諸侯を味方に引き入れ、連合軍を形成するという具体的な行動に移せたのです。
ギュスターヴが新しい時代のうねりを巻き起こした者だとしたら、デーヴィドは新しい時代のうねりを終息させ、戦乱の世に終止符を打った者であります。
ギュスターヴの影響を強く受けていたからこそ、父チャールズが偽ギュスターヴ軍に敗れた際にも、悲観せず自分の意思で行動を起こし、人類に勝利を収めました。
人類に勝利をもたらしたのは『サウスマウンドトップの戦い』を制したプレイヤーと言う意見もありますが、ユニット軍の用意や8ターン耐えれば勝利となる状況に置けたのはデーヴィドの手腕です。
もし、父チャールズが軍師ならば、偽ギュスターヴ軍のユニット数は1.5倍、勝利条件は「敵ユニット全滅」であったでしょう。
サガフロ2の魅力まとめ
サガフロ2はこれまでのサガシリーズの最大の魅力であった『自由』や『戦闘』より『シナリオ』に重視したため、今までのサガシリーズとは大きく異なる結果となりましたが、様々な分野でフロンティア(開拓)精神を感じ取ることができた作品でした。
最重視した『シナリオ』は1つの大河ドラマと捉えても高評価を得ています。
僕自身、当時はそこまでシナリオの良さに気づけませんでしたが、時を経て振り返るとサガフロ2のシナリオは今までのゲームの中でも上位にランクインします。
サガフロ2はギュスターヴ同様に最初は低評価でしたが、徐々に評価が上がっていった『伸し上がり作品』とも言えます。
長文ながら最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
サガフロ2の魅力を100%引き出すためには、この攻略本(専門書)は必須!前作の解体真書と裏解体真書が一体化した極めて良質な本です。
サガフロ2の魅力であるBGMが収録されたサウンドトラック。当たり前ですがAmazon評価も高いです。