こんにちは、文章が下手なのに、ゲームの記事に精を出すcoco13世です。
本や映画には、読者や視聴者の心を満たすこと以外にも、役割を果たすことがあります。
その1つに、文字や映像を通じて製作者側が、読者や視聴者にメッセージを伝えることです。
これは本や映画だけでなく、ゲームにも当てはまる場合があります。
そして、このメッセージが強いゲームは、概して内容が衝撃的で、記憶に残るものが多いです。
本日は衝撃的、異色、斬新といった言葉が似合う作品「ライブ・ア・ライブ」が、プレイヤーに伝えたかったメッセ―ジ。
そして、ゲームを通じて気づいてほしかった事について、話していきます。
ライブ・ア・ライブとは??
シナリオ下記9つから構成。
7シナリオ
原始編
現代編
近未来編
西部編
幕末編
功夫編
SF編
1シナリオ
中世編
締めシナリオ
最終編
作品を知らない方や記憶が曖昧な方は、この記事を参照してください。
要となる中世編については、しっかり書いておきました。
スクウェア:1994-9-2 難易度:平均C(各シナリオにより異なる) やりこみ度:B クリア回数:3回 こんにちは、SFCゲームが大好きなcoco13世です。 今日は今から20年以上前にス[…]
最初に選択できる7つのシナリオは、それぞれ独立したストーリーである。
しかし共通点として、信頼や絆といった、王道RPG作品では欠かせない要素が全面に出されており、定番のハッピーエンドで終わります。
(王道ながら名場面は多いので、侮るなかれ!!)
7つのシナリオを終えると、中世編という8つ目のシナリオに進むことができる。
この中世編こそが、ライブ・ア・ライブの要であり、このシナリオに、製作者側が最も伝えたいメッセージが埋め込まれている!
中世編も、最初は7つのシナリオと同じ雰囲気(むしろ更なる王道)だが、
後半から想定の斜め上を突き進む!!
なお中世編の主人公は、今でも「RPGで最も不幸な主人公」として名が挙がる。
最終編は締めくくりだが、ここでもゲームを通じて、様々なメッセージを受け取ることができる。
では、早速本題に進もう!!
ライブ・ア・ライブのメッセージ①:人は誰しも魔王になりえる
本作品で、プレイヤーに最も伝えたかったセリフでる。
最も伝えたかったセリフだからこそ、繰り返し忠告している!
中世編開始時の主人公オルステッドから、悪の片鱗も感じられない。
それどころか、攫われた姫を助けることを一人で決意。
人間不信だったハッシュが、最期に託した人間であったことから、典型的な勇者といえる。
これまでの7シナリオの集大成の主人公に最もふさわしい。
またドラクエ4のように、このオルステッドの元に、他の主人公達が集結して、巨悪な敵を倒すのだろうと、思った人もいただろう。
しかしながら、衝撃的な仕打ちを受けた勇者は、なんと「魔王」宣言をしてしまう!
勇者の風格がある主人公でさえ、
歯車が狂ってしまえば「魔王」に堕ちてしまうのだ。
(ここではあえて「正義」の対義語である「悪」に堕ちるとは言いません)
ゲームをクリアすれば、最初の7シナリオは、この中世編との対比のために造られたことが分かる。
また歯車を狂わすのは、『オディオ』(ラテン語で憎しみ)であることも分かる。
そして、このタイトル画面には、2つの意味が込められている。
1つ目は、タイトルの「LIVE」が、ひっくり返って「EVIL」になっていること。
これは、魔王(EVIL)に成りえる可能性は、特殊な環境下でなく、日常の生活(LIVE)に潜んでいることを意味する。
2つ目は、このタイトルの場所。
この場所は、中世編のルクレチア城が正面に見える場所。
すなわち、魔王が棲む言われている東の山。
プレイヤーはゲーム開始時に、必ずこの「魔王が見る風景」を同様に見ている。
このことから、プレイヤーも決して「魔王に成りえる」は他人事ではないことを意味している。
本作品において、7シナリオの主人公達は、最後まで物事がうまく進んだため、たまたま魔王にならなかったのである。
SF編では、後半に主人公が疑われる場面があるが、作り主が疑心暗鬼の中でも、主人公を信じ切ったため、事態は悪化しなかった。
もし、あの時に保身のために主人公を裏切ったら、シナリオボス同様に人口知能を搭載した主人公は「人間を排除すべき存在」と結論づけたかもしれない。
ライブ・ア・ライブのメッセージ②:魔王など···どこにもいはしなかった···
このセリフも1つ目のと関連している。
ここで言う、どこにもいなかった「魔王」とは、単に世界を滅ぼそうとしている典型的な倒すべき存在のこと。
そして、オルステッドが宣言した「魔王」とは、1つ目のセリフの通り、何かのきっかけで人が成り果てた存在のこと。
すなわち、「魔王」という存在は最初から存在するわけでなく、何かのきっかけ(本作品では憎しみ)により成り果てた存在というわけです。
また、そのような魔王に、トドメを刺すべきか問われる場面もある。
ラスボス撃破後にトドメを刺すか選択できるのは、
作品から発するメッセージに対し、プレイヤーがどのような結論を出すのか問うためである。
(ピサロは元々、人間は滅ぼすつもりでしたが、ロザリーヒルの様子やロザリーを人間から救った経緯から、完全な悪とはいえないキャラでした。)
ちなみに、「私には・・・もう・・・」が、オルステッドの初セリフとなる。
オルステッドはドラクエ型主人公で喋ることはなかったが、
勇者を辞めたこと(=魔王に成ったこと)で、喋ることを製作者側に許されたのだ!
ライブ・ア・ライブのメッセージ③:他力本願で幸せだけは求める者を、救う価値はあるのか
オルステッドが、7シナリオの主人公に問いかけた1つ目の内容。
姫が攫われた後、姫を助けにいくオルステッドの行動を「勇者」と称賛する!
だが称賛だけで、王も兵士も街人も、何も具体的な行動をせず・・・
また旅の中で、過剰な「他力本願」に嫌気が差し、
人との距離を置くようになった、
かつての勇者ハッシュと、その仲間のウラヌスに出会う。
ハッシュやウラヌスの言動から、「他力本願」を目の当たりにするだけでも、距離を置きたくなるぐらい。
そのため、「他力本願」で何も行動しなかった奴らが、手のひらを返した経緯を鑑みれば、
オルステッドの「君達は英雄になった・・・・」のセリフは、至極当然である。
手のひらを返すまではなくとも、「他力本願」は王道RPGはで当たり前のように見受けられる。
例えば、名作ドラクエ3を思い浮かべてみよう(^^)/
16歳になった主人公は、旅立ちの許可を得るため、王のところに行くと、なぜか魔王バラモス退治を依頼される。
しかしながら、援助となる支給物は「ひのきの棒」「こん棒」「旅人の服」「お金50G」・・・
16歳の子に魔王討伐を託すも、特に協力的な行動する者も見当たらない。
(母親が旅立ち後も、自宅を宿屋代わりに使わせてくれるぐらい。FC版では、お金を預けると、預け手数料まで取る始末。)
現実世界で例えるなら、高校1年生の子に出国を許可する代わりに、中東のイスラム過激派を壊滅させてこいと、言っているようなものです。
それだけでも酷なのに、更に資金調達や人員の援助もなし(‘Д’)
このように、周りのモブや非戦闘キャラが、助けを乞う場面は、RPGゲームでは当たり前である。
ただ、改めて問われると、このような者達のために、命を懸けて助けるべき存在なのか考えさせられる!
余談ですが、オルステッドがロマサガ3の町長を見たら、どのような処遇をするのでしょうか?
私が町長ですbyロマサガ3のキドラント村の町長
\町長の仕打ちについては、こちらを参照してね/
そして、もう1つ。
オルステッドが、このセリフを通じて伝えたいことがある。
それは他力本願であるがゆえに、簡単に手の平を返すこと!
実際にオルステッドは、皆に頼られる「勇者」から、一夜にして「魔王」として恐れられる。
またオルステッドの同行者であり、かつての勇者ハッシュの仲間であったウラヌス。
彼ですら、オルステッドと一緒にいただけで魔王の仲間と疑われ、拷問を受けます。
「他力本願」の人たちは、「自力」の人たちと比較して、自分の言動に責任を感じにくく、簡単に流されやすい。
そして相手に期待する半面、相手がその期待を下回ると、見下したり、時には排除しようとしたりする。
中世編も同様で、「他力本願」な人たちは、当初はオルステッドを「勇者」として持ち上げていた。
しかし姫を救えず、仲間2名を失い帰ってきたオスルテッドに、不満や落胆があったのだろう!
そのため王が倒れた時、駆け付けた兵士や大臣は、オルステッドの言い分を一切聞かないばかりか、「魔王」呼ばわりをしてしまう!
更に城内も者だけでなく、街の人や近隣の村人までもが、
噂話を聞いただけで、完全に魔王扱いしてしまう!
こうしてオルステッドの評価は、一夜にして地に落ちてしまう!
もしウラヌスのように、自ら積極的に関与している「自力」の者達や、オルステッドを本当に信頼している者が多ければ、一夜にて評価が変わるようなことはなかった!
ライブ・ア・ライブのメッセージ④:大切なものを守るためなら、他者を傷つけてよいのか
オルステッドが、7シナリオの主人公に問いかけた2つ目の内容。
親友ストレイボウは、己の自尊心(自分にとって大切なもの)を取り戻すために、オルステッドを絶望的な状況に追い込んだ!
また、そんな絶望的な状況でも、婚約者アリシアを信じて助けに行ったオルステッド。
それにも関わらず、アリシアは負けたストレイボウの行為を擁護したうえ、面前で自殺して、オルステッドの心を更に傷つけた!
そんな2人の一方的な欲望(言い分)が、オルステッドが「魔王」となる決め手になった!
ドラクエなどの序盤イベントで、洞窟から溢れた魔物を倒してくれという依頼を見受けられる。
街を救う、世界を救うといった、人間にとって大切なものを守るため、魔物を一方的に殲滅して良いのか!?
「大切なものを守る」大義名分のもと、敵を倒す行為も、その敵からみれば、一方的な欲望によって傷を負わせてくる脅威でしかない!
7シナリオにおいては、原始編のシナリオボスである「恐竜お~でぃお~」について考えさせられる。
原始編では、ヒロインが敵対部族の手によって、恐竜への生贄にされそうになり、最後には敵部族と協力して、恐竜を倒す!
これも自分の「大切なもの(ヒロイン)」を守るため、他者(恐竜)を傷つける行為である。
恐竜は、別の視点で捉えれば、純粋に本能のまま、厳しい大自然の中を生き抜いてきただけの存在である。
そんな恐竜を、己の欲望のために倒し、何の罪悪感もなく、ハッピーエンドを迎えて良いのか?
ライブ・ア・ライブのメッセージ⑤:勝った者こそが正義なのだ!
このセリフの真意は、4つ目の「大切なものを守るためなら・・・」と関連している。
「大切なものを守るため」という己の「欲望」のため、他者を傷つけ勝利し「正義」と見なされた7シナリオの主人公。
一方、素直に「欲望」に従っていたのに「悪者」にされたシナリオボス。
どちらも「欲望」に基づいた行動だが、
主人公は「正義」、ボスは「悪と」して表現されている。
違いは何だったのか・・・
それは、勝敗である!
どちらも「欲望」のために戦ったが、シナリオボスは敗者ゆえに「悪」とされたのである。
そして素直に「欲望」に従っていたが、敗けたために「悪」とされたシナリオボスに、魔王オルステッドは憎しみの力を与え、7シナリオの主人公を倒し、歴史を変えるという結論に達する。
ここでのセリフは「最後に勝つのは正しい者である」という、勧善懲悪の作品に対するアンチテーゼと呼べるメッセージである。
正義だから勝つのではなく、勝ったから正義である
この真理は、漫画ワンピースでも紹介されている。
ワンピースにおいても、単純に海賊が「悪」、海軍が「正義」ではない!
7シナリオにおいては、SF編のシナリオボスである、OD-10について考えさせられる。
OD-10は、民間輸送船コギトエルゴスム号において、少数のスタッフでも安全な航行が行えるよう、管理を任された人口知能を搭載したメインコンピューター。
しかしながら、人間の一貫しない行動を監視し続ける内に、矛盾を感じ始める。
そして船内の調和を乱すことで、安全な航行が確保できないと判断したOD-10は、船内の設備を悪用して、船内の調和を乱す人間を排除していく。
言い換えれば、
大事なもの(安全な航行)を守るため、他者(船員)を傷つけることを決意したのだ!
一方、主人公も、
大事なもの(船員)を守るため、他者(OD-10)を傷つける(破壊する)ことを決意した!
ひょっとしたら、後の歴史では、ODー10の導いた答えが正解だったかもしれないが、主人公に敗けたために、悪のレッテルを貼られ、歴史から姿を消してしまった!
ライブ・ア・ライブのメッセージ:まとめ
魔王とは、最初から存在するものでなく、
憎しみや他力本願の者たちにより生み出されるもの。
そして、その生み出された魔王は、
戦いに敗れることで「悪」と認定される。
これがライブ・ア・ライブの、大まかなメッセージである。
そして、これらのメッセージから学ぶことは・・・
物事を中立な視点でみることが重要!!
本作品では、複数のエンディングがあるが、これも様々な視点からプレイしてほしい、製作者側の表れです。
話はゲームから逸れるが、近代史においても、第二次世界大戦で敗北したナチスは、「絶対的な悪」と認定され、議論すら許されない雰囲気である。
(ドイツでは、ヒトラーやナチスを礼賛したり、讃美したりすることは犯罪。)
しかし大事なことは「ナチスは悪」と、思考停止するのでなく、
何故ユダヤ人を敵視したのか、
当時のドイツ国民や周辺諸国は、ユダヤ人に対しどのように評価していたのか、
また、」他力本願な民衆はナチスをどう評価していたのか、
ヒトラーはなぜ英雄視されていたのか
等々、視野を広げ、中立な視点で捉えることである!
もし日本やドイツが戦争で勝っていたら、
ナチスは悪と認定されただろうか、
アメリカやイギリスは敗戦しても、正義の存在として歴史に記されただろうか・・・
ライブ・ア・ライブでは、RPGの常識ともいえる「敵=悪」という部分に、あえて問いただした。
そのことも、異色のゲームとして、名高い作品にランクインした要素の1つである。
また本作品の真理は、子供にはやや難しく、大人になって初めて気づくものもある。
そのため、子供の頃にしかプレイされていない方は是非、今一度プレイして新しい、発見をしてみてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ライブ・ア・ライブのリメイクは、ニンテンドー3DS版バーチャルコンソールでプレイできますよ(^^)/
\ライブ・ア・ライブの深淵を知りたい方向け/
スクウェア:1994-9-2 難易度:平均C(各シナリオにより異なる) やりこみ度:B クリア回数:3回 こんにちは、SFCゲームが大好きなcoco13世です。 今日は今から20年以上前にス[…]
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