ダイの大冒険のポップの見どころと言えば、予期せぬ行動で周りをビックリさせることですが、とりわけ印象に残ったのが大魔王バーンの必殺技ともいえるカイザーフェニックスの解体場面です。
ぶっちゃっけポップのカイザーフェニックス解体場面は導入しなくても物語は問題なく進みますし、一緒にいたダイが海波斬やアバンストラッシュで切り裂く方法も取れたはずです。
それにもかかわらずカイザーフェニックス解体場面を取り入れた理由を考察してみました。
【前提】カイザーフェニックスは決して弱い必殺技ではない
ネットを検索していると、カイザーフェニックスはそもそも弱いみたいな意見が見受けられますが、結論から言うとカイザーフェニックスは強力な必殺技です。
詳しくは下記記事で解説していますが、主な理由は4つ。
- 威力はポップのメラゾーマの36倍以上
- 呪文の領域を超えている
- 連射や合わせ技も可能
- バーンが最も信頼を置いている必殺技
そんな強力なカイザーフェニックスをポップが真っ向から解体したため、注目される場面となったわけです。
カイザーフェニックス解体を導入した3つの狙い
大魔王バーンの必殺技『カイザーフェニックス』の解体場面を取り入れた理由を考察した結果、3つの答えが出てきました。
- ポップにメラ系の座を返上したかった
- ポップの洞察力の高さを改めて伝えたかった
- ポップはダイと同じ天才であると締めくくりたかった
順番に解説していきます。
ポップにメラ系の座を返上したかった
ポップはメラ系・ギラ系・ヒャド系・イオ系の攻撃呪文を使えますが、得意とする系統はメラ系でしょう。
初登場時にはメラ系最上位呪文であるメラゾーマを使用してブラスを驚かせましたし、敵だったクロコダインもポップがメラゾーマを使用したことに対して一定の評価をしました。
またメラ系が得意だったのか、メラゾーマを1度に5発放つ魔王軍団長フレイザードの必殺技『フィンガーフレアボムズ』も、実際に見たことないにも関わらず作中で数回使用していました。(下記画像では力量不足のため3発)
アニメ36話より引用
そんなわけでメラ系はポップの専売特許でしたが、それを完全破壊したのがバーンです。
なんとポップの得意とするメラゾーマをメラ(最下位呪文)で相殺。
バーンもメラゾーマで相殺と思いきや、まさかのメラでポップはショックを受けます。
アニメ57話より引用
圧倒的魔力を持つバーン相手に、メラ系を通じてリベンジするにはどうすればよいか。
いくらポップがメルルをきっかけで覚醒したとは言え、バーン相手に魔法力で上回るのは無理があります。
そこで出てきた案がバーンのカイザーフェニックス(メラゾーマ)を打ち消すこと。
バーンのカイザーフェニックスを真っ向から打ち消せば、メラゾーマをメラで打ち消された黒歴史も帳消しです。
実際、カイザーフェニックスを素手で打ち消されたときは、魔界の神であるバーンもドン引きした表情をしていたので雪辱は果たせたと思います。
原作36巻より引用
ポップの洞察力の高さを改めて伝えたかった
ポップを語るうえで欠かせないのが、相手の行動や戦局を読み取る洞察力の高さです。
魔王軍団長クロコダイン戦では、ダイの育て親ブラスを魔王軍側に取り入れられ絶体絶命の状況でしたが、ポップの機転で危機的状況を乗り越えました。
魔王軍団長ヒュンケル戦では、呪文が効かないと言われているヒュンケルの鎧でも、デイン(雷)系だけは例外であることに気がつき、ライデインでヒュンケルに勝利する戦略を定め、実際にヒュンケル戦ではライデインを使用した必殺技(ライデインストラッシュ)で勝利しています。
魔王軍団長バラン戦では、呪文も物理攻撃もろくに効かない竜闘気をまとったバランに対し、これまでの言動からメガンテであれば竜闘気を貫きダメージを与えらることに気がつき、バランもポップの計算高さを評価しています。
原作12巻より引用
その他にもザムザ戦やキルバーンのトラップでもポップの洞察力の高さが描かれていますが、一番洞察力の凄さを感じたのが真バーン戦でしょう。
ポップはたった1回見ただけで、バーンの奥義『天地魔闘の構え』の性質を見抜き、バーンもポップの洞察力の高さを評価します。
原作35巻より引用
そんな洞察力の高いポップだからこそ、カイザーフェニックス解体という常識離れした行為も読み手に受け入れられるわけです。
バーンはこれまでポップの前でカイザーフェニックスを7回(バーン1戦目で4回、2戦目で3回)使用しており、『天地魔闘の構え』の受け役となった7回目に関しては、ポップはカイザーフェニックスをまともに受けています。(シャハルの鏡で跳ね返したためダメージはゼロ)
洞察力が高く、天地魔闘の構えを1回見ただけで性質を見抜いたポップであれば、8回目となるカイザーフェニックスに対して、何らかのコツを掴んでも違和感はありません。(カイザーフェニックスはポップの得意とするメラ系でもあるわけですし)
ポップはダイと同じ天才であると締めくくりたかった
ポップは登場時から抜けている点はたくさんありましたが、センスだけは一流だったのは確かです。
クロコダイン戦ではアバンが使用した破邪呪文『マホカトール』を見よう見まねで成功していますし、フレイザードの必殺技『フィンガーフレアボムズ』に関しては、話聞きだけで使いこなしていました。
原作15巻より引用
師マトリフからセンスのないヤツは一生かかっても習得できないと言われた極大消滅呪文『メドローア』も習得し、習得度の速さに大魔導士マトリフも思わず驚いた場面もあります。
アニメ46話より引用
バーン戦では、かつてマトリフが見せた同時呪文を見よう見まねで実践して成功させています。
この同時呪文は魔界の神バーンですら『器用な事をする小僧だな』と表現していることから、レベルの高い技だと推察できます。
そんな一流のセンスを持ったポップだからこそ、カイザーフェニックス解体という離れ業も成し遂げることができたわけです。
ちなみにポップがカイザーフェニックス解体後に自分のことを『やっぱ天才…だったりしてね おれ…』と呟いたのに対し、ダイが『おまえは昔から天才だよっ!ポップ』とポップのセンスを昔から認めていた場面がありました。
『ポップ=天才』に対しては、ある日突然覚醒したのでなく、物語序盤からところどころで天才ぶりを描かれていたからこそ、視聴者側も違和感なくポップの天才的センスを受け入れられたわけです。
カイザーフェニックス解体は人間の底力の象徴
バーンにとって一般の人間など地上に巣くうゴミ程度の認識でした。
だからこそ、アバンやヒュンケルのような特殊枠な人間でなく、ポップのような常人(血筋のない田舎町の武器屋の息子)が人間の底力を示す必要がありました。
また、ポップはバーンに『人間の生き方』について下記のように熱く語りましたが、『魂の絆』同様にバーンは現実主義なので抽象的な言葉では響きません。
あんたらみてえな雲の上の連中に比べたら、俺たち人間の一生なんでどのみち一瞬だろう?
だからこそ結果が見えても、もがきぬいてやる!
一生懸命に生き抜いてやる!!
残りの人生が50年だって5分だって同じ事だっ!
一瞬・・・!だけど・・・閃光のように・・・!
まぶしく燃えて生き抜いてやるっ!
それが俺たち人間の生き方だっ!!
原作36巻より引用
だからこそ、言葉でなく行動で証明する必要があったわけです。(魂の絆は天地魔闘の構えを破ることで証明済)
事実、カイザーフェニックスを放たれても、最後まで一生懸命生き抜くと宣言したポップは諦めることも臆することもなく、カイザーフェニックスを冷静に見極め、真っ向から立ち向か解体に成功します。
カイザーフェニックス解体によって、バーンはおそらく初めて人間に脅威を感じたはずなので、ポップの上記名言も行動で証明できたわけです。
まとめ:ポップのカイザーフェニックス解体には意味があった
本記事ではポップのカイザーフェニックス解体の意味についてお伝えしました。
- ポップにメラ系の座を返上したかった
- ポップの洞察力の高さを改めて伝えたかった
- ポップはダイと同じ天才であると締めくくりたかった
カイザーフェニックスは魔界の神であるバーンの必殺技の1つであることから、決して弱い技(呪文)ではありません。
そんなカイザーフェニックスを人間らしい弱い部分も持ったポップが解体したことで、人類の強さを証明することができました。
また、物語序盤からポップの高い洞察力やセンスが描かれていたからこそ『カイザーフェニックス解体も今のポップならやり遂げてもおかしくない』と視聴者も納得できたわけです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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