ファイナルファンタジー12(以下FFと略)はプレイヤーを選ぶ作品であるため、賛否両論の大きい作品です。
これまでのFFナンバリング作品は万人受けする作品が多く、FF10は顕著でゲーム第一主義でない層からも支持されていました。
一方、本記事でお伝えするFF12は製作者側が遊ぶプレイヤーの属性を絞ってしまったことから、ターゲットから外れたプレイヤーの不満が爆発しました。(これが激しい賛否両論の正体!)
すなわち・・・製作者側が狙うターゲットと一致していれば、FF12はお値段以上の価値を見出します。
具体的にFF12TZAを買って得する・損する人の特徴を各3つ提示すると以下の通り。
- 戦闘を楽しめる
- やり込み好き
- 考察好き
製作者側がターゲットとしたのが上記3つを楽しめる人。やり込み好きには至高の作品です。
- ストーリーを重視する
- 複雑なシステムが苦手
- サブイベントに興味がない
この3つの特徴からも、これまでのFFとは違うのが良く分かります。
FF12の長所や短所を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
FF12TZA評価・感想:買って得する人の特徴
まずは得する人の特徴から具体的に解説していきます。
FF12の特徴として戦闘もストーリーもプレイヤーに大きく委ねられていることが挙げられることから、戦闘やストーリーを自分なりに考えることが好きな方とは相性抜群です。
FF12を買って得する人①:戦闘を楽しめる
FF12のプロデューサーである河津は元々ロマサガシリーズを担当しておりました。
ロマサガシリーズとは言えば、戦闘狂のプレイヤーが集う作品で有名ですね。
そんな河津がプロデューサーとなったFF12は、当然ながら戦闘重視な作品に仕上がっています。
そのため、立ちはだかる強敵をごり押しでなく、戦術を用いて撃破することが好きな方は買って損はしません。
そもそも、なぜ戦闘が楽しめるのか?
FF12では多彩な戦術を用意されいるからです。
戦術の具体的な要素としては2つ挙げられます。
- ジョブ・ライセンスシステム
- ガンビットシステム
①ジョブ・ライセンスシステム
ジョブシステムはFF12インターナショナル版から導入されたシステムで、リマスターに当たるTZAでは更に改良されました。
ナイト・白魔導士といった定番のジョブの他にウーランやブレイカーといった聞き慣れないジョブが存在します。
この計12のジョブから2つを組み合わせます。
例えば『ナイト+黒魔導士』を組み合わせるとナイト装備(重装備・剣装備)と黒魔導士装備(魔装備・杖装備)の双方が装備可能となりますし、イメージ通りエクスカリバーで物理攻撃しつつサンダガで周囲の敵を一掃する、魔法戦士の役割を果たします。
ジョブの組み合わせ次第でパーティの戦闘スタイルが大きく変わります。
また、選んだジョブごとに独自のライセンスボードも用意されています。
ライセンスボードには下記のようなライセンスがあり、どれを優先して入手していくかで同じジョブでも役割は大きく異なってきます。
- 装備できる武具・アクセサリー
- 習得できる魔法や技
- ステータスアップ系
- アイテムの効力向上
装備できる武具を増やすのか?
使用できる魔法を増やすのか?
力UPなど基礎ステータスを上げるのか?
ポーションなどのアイテム効果を増幅させるのか?
プレイヤーの価値観がライセンスボードに現れるよ。
2つのジョブの組み合わせ+ライセンスボードにより、プレイヤーが考える理想的なパーティ編成が可能になりました。
②ガンビットシステム
ガンビットとは何か?
同じく有名RPGであるドラクエのAIをより詳細にしたシステムのことです。
専門的な言葉を借りるならプログラミング言語の制御構文そのもの。
キャラをオートにしたときの行動の優先順位を下記画像のように決めます。
オート時にガンビットが設定されたキャラは制御構文に基づいた行動を起こします。
- 敵を発見したら、まず「盗む」を行います。
- 全ての敵がHP100%未満になったら味方のHP・MP・状態異常を優先しつつ、攻撃魔法優先で敵と戦ってきます。
- 敵を殲滅した時点でアーシェのバブル(HPを一時的に2倍)効果が切れていたらバブルを使用。
このプログラミングのようなガンビットシステムにより、戦闘の全自動化が実現されました。
自分の理想の戦闘スタイルを求めて、ガンビットを試行錯誤しながら改善していくこともFF12の醍醐味の1つです。
モブシステム
ジョブ・ライセンスシステムの最適な組み合わせとガンビットの最適化を頑張っても、その苦労を労ってくれるボスがいなかれば、やる気は失せませんか?
モブシステムはそんなプレイヤーの心配を見事に打ち払ってくれます。
序盤から強めのモブと戦うこともできるため、本編のボスが物足りなくても消化不良に陥る心配はありません。
むしろ、モブとのハイレベルな戦いにハマってしまい、本編に戻ってこれない心配の方が大きいです。
FF12を買って得する人②:やり込め好き
FF5であれば全ジョブマスター、FF7であれば全マテリア収集など、これまでのFFシリーズでもやり込める要素は多かったです。
しかし、FF12は従来のFFシリーズと比較すると、やり込み要素は桁違いです。
ロマサガシリーズのように一部の敵やボスが数%のドロップ、アトリエシリーズのようにレアアイテム同士を組み合わせて更なるレアアイテムを作る場面もたくさん用意されています。
FF5のライバル的な存在であったギルガメッシュからは、FF5同様に「源氏シリーズ」が盗めます。
最強の両手剣であるトウルソウルは、レアアイテム3つを合成して造りますが、どのレアアイテムも一筋縄ではいきません。
RPGのやり込み要素で大事な、強くなり過ぎたパーティに見合う敵がいない心配も不要。
初期のFF7は顕著でしたが、最強召喚ナイツオブラウンドを入手しても見合う敵がいませんでしたが、FF12 ではやり込みの中でパーティが強くなってしまっても、その強さに見合う凶悪なモブが多数います。
実際に全てのモブを討伐して感じたことが2つ。
- ラスボス以上の強さを持つモブが多すぎ!
- ラスボス倒してから本当の戦いが始まる!
とくに印象的だったモブがFF5のオメガとしんりゅうがモデルとなった、オメガmk.Ⅻとヤズマット。
この2体は、やり込みプレイヤーのために用意された存在と言っても過言でありません。
正直、やり込みプレイヤーの需要を満たす部分に予算を割き過ぎではないかと思えるぐらいな作品です。
FF12を買って得する人③:考察好き
ここでの考察は戦闘でなくストーリーを意味します。
FF12は戦争と政治のストーリーのため、キャラのセリフも本音と建前が混ざっています。
そのため、単にキャラの言動を受け入れるわけでなく、何故このようなセリフを主人公達に伝えたのか、考える余地が出てきます。
例えば物語の序盤で、領主オンドール侯が主人公達を帝国側に引き渡したたことを、ヴェインに手紙で伝える場面があります。
一見、ただのイベントのように感じますが、実際は政治家としての高度な駆け引きが行われていました。
またFF12は単純な勧善懲悪なストーリーではなく、主人公達と戦う敵連中も各々の正義や価値観に基づいて行動しています。
しかしながら、正義や価値観を表立って表現してしまうと、プレイヤーが敵を倒した時にカルタシスを味わえないので濁している部分が多いのです。
一見、冷酷な雰囲気であるが、たまに苦悩な表情も見受けれるヴェイン。
己の命を掛けて元老院を粛清した父の亡骸を見て、ヴェインは何を思ったのか!
これまでのRPGなら、頭よさげなキャラが事の真相を解説してくれる場面もFF12ではプレイヤーに委ねてきますので、描かれたストーリーの裏側を考察するのが好きな方にはおすすめできます。
FF12TZA評価・感想:買って損する人の特徴
ここからは、買って損する人の特徴についてお伝えします。
FF12を買って失敗する人の口コミやレビューを調べてみると、ここで挙げた3つのどれかに当てはまります。
FF12を買って損する人①:ストーリー重視
ゲームの中ぐらい自分が世界の中心でいたいですよね?
これまでのFFシリーズでは、そんなプレイヤーの願望を叶えるため、主人公を中心に世界が描かれており、主人公の分身であるプレイヤーはゲームの世界では必要不可欠な存在でした。
しかし、FF12では主人公ヴァンの存在感は薄く、ぶっちゃけ居なくてもストーリーに支障はない。
主人公は物語の中ではただの脇役。
さらに言うならば、事実上の主人公ともいえるアーシェですら、世界の命運には大きく関与しません。
また、ストーリーの構成要素である各種イベントもお使いイベントが多く、自分で道を切り開くイベントは少ないため、ストーリーを脇役目線で受動的にこなしている感が出てしまいます。
ゲームの中ぐらい、自分が世界の中心で活躍したいと思っている方は注意しましょう。
FF12を買って損する人②:複雑なシステムが苦手
これまでのFFにおいても、新作の都度、下記のような独自システムが登場しました。
- ジョブ
- アビリティ
- マテリア
- スフィア
FF12において代名詞といえるシステムはガンビットシステムですが、ガンビットシステムの構造はプログラミング言語の制御構文そのものであるため、慣れていないと、言う事を聞いてくれない、思ったとおりに動いてくれないといった不満が出てきます。
したがって、ゲームプレイ中ぐらいは頭を休ませたいと思うプレイヤーとFF12の戦闘システムと相性は良くないです。
実際に僕も初プレイ時にはシステムの理解に時間がかかりましたし、これまでのFFシリーズのシステムと比較しても複雑だと感じました。
ただし、製作者側も一定数はガンビットについてこれないと仮定しており、ガンビットシステムを十分に発揮できなくても、ライセンスシステムさえ理解できていればクリアできる仕様になっています。
FF12を買って得する人③:サブイベントに興味がない
FF12はモブシステムを筆頭にサブイベントは非常に豊富で、FF12の舞台となるイヴァリースの世界観はサブイベントから判明することも多く、アイテムなどもサブイベント経由で入手できるものが多いです。
そんなサブイベントが豊富なFF12において、本編だけに固執するとどうなるか?
本編だけではFF12の全容をつかむことができません。
また、強制イベントのボスは弱めの設定であるため、それなりの戦術で何となく撃破できてしまい、戦闘に対する向上心(ジョブやガンビットの組み合わせ)が失われます。
そして最も大きい損失は、FFシリーズ最大規模とも言える「やり込み要素」に触れることができないこと。
はっきり言ってFF12の場合、本編だけをプレイして終わるゲームであれば、FFシリーズの中で低評価と評されてもフォローできません。
そのぐらいFF12においてサブイベントは欠かせない要素であり、本編をクリアすることしか考えていない方には物足りない作品になります。
FF12TZA評価・感想:無印版とTZA版の違い
他作品ではリメイク時やリマスター時に改悪されることがありますが、FF12に関しては驚くほど改悪点がありません。
FF12無印版を大幅に改良したのが、FF12TZAという認識で問題なし。
とくに素晴らしいと感じた改良点は3つ。
- ジョブシステム
- 倍速機能(2倍・4倍)
- 4桁カンスト撤廃
①のジョブシステムにより無印版で欠点となっていた『キャラの汎用化』問題が解決されました。
さらにTZAでは『ジョブ2つの組み合わせ』が導入され、より差別化が図られるようになりました。
②の倍速機能により、広大なマップの移動やルーティンで退屈な戦闘のストレスから解放されました。
③の4桁カンスト撤廃により、両手剣など攻撃力の高い武器が見直され、また与ダメージについて深く考えられるようになりました。
③については補足すると、無印版では一回の攻撃で9,999与えれるが連撃率が低い両手剣より、一回の攻撃で9,999与えれないが連撃率が高い刀の方が有利でした。
一度TZA版を経験してしまうと無印版をプレイする気は失せます。
ストーリーは一切変更されていないので、購入するのであればTZA版を全力でおすすめします。
FF12TZA購入者の口コミ・評判
実際に購入した方のレビューを集めてみました。
アマゾンレビューは以下の通り、評価は高いです。
(写真左がswitch版、写真右がPS4版)
高評価レビュー(無印経験者)
このリメイクは、音もきれいだと思います。低音も効いている。フィールド、ステージ、街ともに素敵なBGMだと思います。
ゾディアックエイジではインターフェースが使いやすくなり、次に何をするべきなのかも解りやすくなって、ゲーム進行が楽になりました。
倍速機能に至っては、本当に有難かった。これが無かったら、とてもじゃないけどやる気が起きない。
- 無印経験者からの声で意外と目立ったのがBGM改良。
- 公式サイトでもサウンド表現力の向上をPRしています。
- 倍速機能や透過マップなどインターフェース部門は、実際に体感するとその快適さに驚くこと間違いなし!
高評価レビュー(無印未経験者)
細部まで本当によく作り込まれている。そして、それがうまくシステムと噛み合わさっている。
自由度が高いので、最短でメインシナリオを進めるも良し。寄り道したりギル&アイテム収集するも良し。下手にオリジナルの最新RPGに手を出すよりは、こちらの購入がオススメです。
モブ討伐はやりこみ要素として、ほぼ完璧なレベルで楽しい。報酬も強武器の素材などに直結するので、ついストーリーそっちのけでハマってしまう。
ガンビット、トレジャー、サブイベントが豊富で、やり込みが好きな人程、ハマれる作品です。
キャラクターそれぞれの「自由」がテーマとなった、大人の素晴らしいストーリーです。
- やり込み要素を「FF12の長所」と捉えているレビューが多い。
- ストーリーは追求すると面白味や奥深さが分かる。
- FF12はスルメゲームのため、プレイすればするほど味が出てくるゲーム。
低評価レビュー
ヴァンの主人公じゃない感が凄まじいこと。
ネット上にあるレビューの通り,、シナリオの出来は正直良くないと思います。松野氏が降板してしまい、氏のタクティスオウガ等比べると、何やら中途半端でがっかりします。
やり込み要素がたくさん用意されていますし、それが今作の醍醐味のようですが、やり込みに一切興味のない私には、最強装備とか魔法とか召喚獣とか、入手できないものが多くあることに不満がありました。
ガンビットは斬新なシステムで、戦略を考えるのが好きな人には受ける機能なのでしょうが、私にはやや面倒に感じました。普通にAIで技や魔法の使用オンオフ設定ができるぐらいのほうがよかったです。
FFは好きなのですが、ちょっと操作が複雑になりすぎて面倒です。
- ストーリーが中途半端
- 煩雑なシステム
- おまけ要素が多すぎ
低評価意見は上記3つが大半です。
RPG全般で言えることですが、戦闘システムに拒絶反応が出るのであれば購入は控えた方が良いです。
FF12も例外なくプレイ中に一番時間を費やすのは『戦闘』だからです。
FF12TZA評価・感想:まとめ
本記事ではFF12TZAを購入して得する人・損する人の特徴についてお伝えしました。
- 戦闘を楽しめる
- やり込み好き
- 考察好き
- ストーリーを重視する
- 複雑なシステムが苦手
- サブイベントに興味がない
FF12はこれまでのナンバリング作品から逸脱した感はありますが、向いている人がプレイすれば、どっぷりハマるのは間違いない作品です。
本記事を読んで、向いていると感じた方はぜひプレイしてください。
最後に一言。
FF12無印版を若き頃にプレイしてストーリーに不満を持ったあなた。
FF12は『自由と責務』『戦争や政治』をテーマとした大人のストーリーです。
そのため、大人になって改めてストーリーをみると、責務側であるヴェインやガブラスの苦悩や板挟みの状況下に置かれた中でのオンドール侯の政治的手腕など、今まで見えてこなかった部分が発見できる楽しさもあります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
これからFF12をプレイするならば原作から大幅に改善されたリマスター版がおすすめです。switchとPS4で遊べます。
FF12は奥深いので攻略本もあったほうがおすすめ。リマスター版の攻略本もあります。
原作とリマスター版の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。